2011年03月10日  とある映画その3

弧を描く電話番号

映画「How Do You Know(幸せの始まりは)」の
DVDが2週間後に発売されるらしいのだが、
俺のカットされたシーンは、どうやら収録されていないらしい。


うーむ、残念だ。


この映画で俺が演じた役「トリ」は、
オーウェン・ウィルソンさん演ずる
「マティー」の親友の役だった。

野球場のブルペンで観客の女の子と恋に落ち、
最後の方にプロポーズして結婚する・・・という
ちゃんと専用のストーリーがある役で、
プロポーズのシーンも、ちゃんと撮影していた。


それがまさか、完全に無くなるとは!!


でも、これは俳優をやって行く上で、仕方が無い事だ。
シーンがカットされる理由なんて、いくらでも考え付く。

俺にできる事は、常にセットでベストを尽くす事だ。
今回はカットされたけど、俺は胸を張って言える。


 自分はセットで最善を尽くした。


さあ、次の役を探そう!

投稿者 ユウキ : 23:38

2010年11月15日  とある映画その3

透明人間2

去年出演した映画「How Do You Know」がいよいよ12月に公開される。

俺が演じた役は、「日本人メジャーリーガー」だった。

できる限りの準備をして約2ヶ月の撮影に臨み、
現場では、とても良い反応を得られた・・・と思っていた。


 ・・・がッ、しかし!


試写を観た方から連絡があった。

なんでも、彼によると・・・、


  俺のシーンが・・・   無 い   そうだ。


マ  タ  カ  ッ  !!!!


またカットされたかっ!!

これで2回連続だぞ!!!


・・・彼によれば、一応、二瞬ほど映ってはいるらしいのだ。
でも、それだけ。セリフも無し、だそうな。


もぉおおお、勘弁してよ。


死ぬ気でオーディションに挑み、役を取り、
全力で準備して、撮影に臨んで、
たとえセットで大成功を収めても、編集室で消える。

このパターンは、どうにかならんのか。


・・・どうにもならない。


所詮はチョイ役。切ってもストーリーには影響を与えないのだ。
こりゃ、主役級を取らない限り、駄目だな。

これからは、チョイ役の時は、切られる事をあらかじめ想定しておこう。


さて、それにしても困ったぞ。
みんな、俺が映画に出演してると思ってる。これはマズイぞ。


隠蔽だ!・・・どうにかして、隠蔽するのだ!
最初から出演してなかったかのように、全力で装うのだ!


・・・!!

うわっ!専用掲示板とか作ってる!!



イタタタタタ・・・、こりゃ恥ずかしい。
ちょっと細工して、別の掲示板にしてしまおう・・・



・・・これでよし。上手くごまかせた。
あとは・・・、知らんぷりをしておこう。

あ"~、も"~、なんちゅう職業だ、これは。

投稿者 ユウキ : 23:19 | コメント (10)

2010年08月30日  とある映画その3

予兆

去年出演した「とある映画」から、
 「再撮影を行うので、参加してくれないか」
との連絡があった。


・・・うげげ、それは・・・難しいぞ。


俺は今、別の「とある作品」に参加しているのだ。
再撮影のその日も、もちろん「活動」しなきゃいけない。

しかも・・・、参加できたとしても、キャラクターの「顔」が違う。
俺の見た目は、撮影時とは、全く変わってしまっているんだ。


残念ながら、再撮影には行けそうにない。
俺の登場シーン、無くなりそうだな・・・

投稿者 ユウキ : 21:16

2010年08月12日  とある映画その3

どうしてどうして

去年出演した、映画「How Do You Know」の予告編が公開された。



おおおお!映ってる!トレーラーに映ってる!

・・・なるほど。
とりあえず、完成品に「映っては」いるのだな。

さて・・・、後はどれくらいシーンが残っているか・・・だ。

俺はこの前、テレビで「全カット」になったので、
もう、公開されるまで余計な期待を抱かないように決めたのだ。

公開まであと4ヶ月か。
期待せず、期待しながら、期待して待とう。

投稿者 ユウキ : 23:53

2010年05月06日  とある映画その3

つみきの圧縮

昨年撮影した「とある映画」のアフレコに参加した。

とある映画会社の録音スタジオに入り、
大型スクリーンに映された自分のシーンに声を合わせる。

キラキラしたツヤのある映像が目の前に広がる。


・・・へえ!あのシーンは、こんなに豪華な仕上がりになっているのか!
撮影中は、全く気付かなかった。


たったの3テイク、15分間で録音は終了。

映画が公開されるのが、今から待ち遠しくなった。

投稿者 ユウキ : 23:51

2009年08月26日  とある映画その3

宴の後

今日もセットに来ている。
・・・でも、撮影のためではない。

キャスト&スタッフの皆さんに、ご挨拶をするためだ!


実は、昨日で俺の出番は終わりだったんだ。


セットに着くと、まずは「とある方」から
「昨日の電話」の内容の、詳しい説明を受けた。

抽象的な説明で申し訳ないが、つまりは、
 「当初想定していなかった、
  『良い流れ』が発生しているので、
  その流れを壊さないよう、細心の注意を払いたい。」
という、とてもポジティブな事だったのだ。

俺は深くお礼を申し上げ、皆さんにご挨拶を済ませて、セットを後にした。


その夜、一ヶ月の撮影を共に過ごした俳優達が、
「お別れ会」を開いてくれた。

短い期間ではあったけど、本当に楽しい撮影だった。
完成が、今からとても楽しみだ。


・・・さあ、ハリウッドに戻ろう!!みんなありがとう!!

投稿者 ユウキ : 23:09

2009年08月25日  とある映画その3

5万人の祝福

今日も長い1日だった。

朝の10時から、夜の10時までの12時間、
気を抜かないで、常に全力で立ち振る舞った。


今日も昨日と同じく「大事なシーン」の撮影だったわけだけれど、
「カメラアングルの順番」が、とうとう俺まで回ってきた。

 「何テイクでも全力でやるぞ。 さあ来い!」

と、気張ったけど・・・、拍子抜けするほどアッサリと終わった。

俺が何かやらかしたから早く終わったのかな、
と心配したけれど、どうやらそういうわけでも無さそうだ。

「指揮者の方」にも大変喜んで頂けたようだ。 ほっ。 良かった。


ホテルに戻ると、スタッフの方より電話があった。

 「ユウキ、重要な事なので、よく聞いてね。」

その真剣な声の調子に、俺は姿勢を正して座り直した。


俺 「・・・はい。 ・・・ええ。 それは僕も同感です。
    ・・・分かりました。 では、明日改めて。」


どうやら、予定よりも少し早く、LAに戻れる事になりそうだ。


・・・ああ、今日はさすがに疲れた。
さあ、風呂に入って、寝るとしよう!

投稿者 ユウキ : 23:36

2009年08月24日  とある映画その3

家具付きサウナ

今日は、今までで一番ハードな1日だった。

俺はこのシーンの「中心」にはいないけど、
シーンを構成する重要な要素の一つだ。

カメラに映っている俳優が気持ちよく演じれるよう、
常に全力で立ち回った。


保管しておいた「気持ち」を心の中で開く。
 ↓
アクション!
 ↓
シーンを演ずる
 ↓
カット!
 ↓
「気持ち」を解放し、自分自身をリセットする。
 ↓
保管しておいた「気持ち」を心の中で開く。
 ↓
アクション!
 ↓
シーンを演ずる・・・


この一連の作業を、何度も何度も繰り返す。

・・・例えば、撮らなきゃいけない「カメラのアングル」が6つあって、
それぞれ10テイクずつ撮ったとすると、
それだけで60テイク、つまり60回繰り返す事になる。

それが2分間のシーンだったら、120分にもなる。

・・・どうりで、疲れるわけだ。


でも、ここは絶対に気を抜いてはいけないシーンなのだ。
体当たりで切り抜けよう。

投稿者 ユウキ : 23:44

2009年08月21日  とある映画その3

急流滑り

現在撮影中の「とあるシーン」の、リハーサルがあった。

このシーンは、俳優の位置関係が
シーンが進むにつれて変わっていくので、
あらかじめ「動き」と「タイミング」を合わせておかなければ、
統率不能の大混乱に陥ってしまうのだ。

俺は指示を仰ぎつつ、時に「台本の余白」を読んで、臨機応変に動いた。


・・・「台本の余白」には、見えない文字で、実にたくさんの事が書いてある。
その「見えない文字」を読む事も、きっと俳優の仕事なのだと思う。

投稿者 ユウキ : 23:44

2009年08月20日  とある映画その3

らせん階段

今日から、「重大なシーン」の撮影が始まった。

今回の俺の役は、この「重大なシーン」で一段落を迎えるんだ。


「この瞬間」がどうなるか、一時は心配だったけれど、
台本に載っていない部分も含め、
想像力で補って、自由に演じる事ができたように思う。


・・・それにしても、「アクション!」の声が掛かる瞬間は、不思議だ。

自分自身の中身がすり替わるのと同時に、
目の前に居る俳優の中身もすり替わる。

そして、それまでのお互いの関係が、
一瞬のうちに、全く異次元のものに変化するんだ。


・・・さあ、まだ気を抜いてはいけない。
全神経を集中し、心の耳をすまそう。

投稿者 ユウキ : 23:15

2009年08月18日  とある映画その3

円周運動

セットから撮影本部に戻ってみると、どうもスタッフの様子がおかしい。

みんなチラチラとフェンスの方を見て、落ち着かない感じだ。

何事かとそちらの方を見てみると、
フェンスの向こう側で、一人の男が
巨大な望遠レンズが付いたカメラを、こちら側に向けて構えていた。


 「・・・パパラッチが来てるんだよ。」

スタッフの一人が、苦々しそうな顔で教えてくれた。


・・・へえ、あれが「パパラッチ」か!!
話には聞いていたが、実物を見るのは始めてだ。

俺はトレーラー(待機所)の影から、パパラッチを観察する事にした。


・・・パパラッチは、遠くフェンスの向こう側で、
カメラを首に掛け、双眼鏡を構えて、こちらの様子を伺っている。

いつの間にか、一人増えて、二人組になっていた。

もっと良く見ようと、トレーラーの陰から出ると、
パパラッチは急に双眼鏡を外し、パッとこちらにカメラを構えた。

・・・おっと、見つかったか!

俺が急いでトレーラーの陰に戻ると、
パパラッチはカメラを下ろして、また双眼鏡を目にあてた。



・・・うーむ、なるほど。みんながソワソワするわけだ。

投稿者 ユウキ : 23:41 | コメント (2)

2009年08月17日  とある映画その3

言葉のしゃぼん玉

朝6時に起床。

6時半から1時間、ランニングマシーンで走り、
8時から9時半まで、自分のシーンの予習と準備。

9時45分に、ホテル玄関に集合。


・・・さあ、今日も1日頑張ろう!


撮影本部に着くと、プロダクション本部より、俺宛に封筒が届いていた。

封筒の中身は・・・、7ページの「最新の台本」だった、


台本は、撮影が始まってからも、どんどん修正される。

でも、その度に最初から最後まで印刷していては
資源の無駄遣いなので、
内容が更新されたページだけ、個別に配布されるのだ。

「新しいページ」と「古いページ」を入れ替える際に
混同するのを避けるため、
台本はバージョン毎に紙の色が変えられている。

新しい台本の色は・・・、鮭色(サーモンピンク)だった。

・・・台本がずいぶんとカラフルになってきた。


・・・俺は今日も待機だった。

でも実は、映画撮影において「待機」は決して珍しいことではないんだ。

「とあるサムライ映画」の撮影に、俺は6日間参加したけど、
実際に撮影したのは、なんと3日間だけだった。

あとの3日間は、全て「待機」だったんだ。


もちろん、「待機」なので、いつ呼ばれるか分からない。

・・・さあ、今日も気合を入れて、全力で待機しよう!

投稿者 ユウキ : 23:55

2009年08月15日  とある映画その3

熱帯雨林からの贈り物

今日も、撮影本部に来ている。

元々、週末は休みの予定だったらしいんだけど、
例の「特殊装置」やら、何やら、
いろいろな事情が重なり、スケジュールが押しているので、
当初の予定を変更して、今日(土曜日)も撮影する事になったそうだ。

・・・でも、今日の撮影に俺が必要かどうかは、まだ分かっていない。

それなのに撮影本部に来ているのは、
「もしもの時」に備えているからだ。

必要かどうかが判明し、それから呼び寄せていては、
貴重な時間を、更にロスしてしまう。
それよりも、とりあえず俳優を撮影本部まで来させておいて、
待機させておく方が得策なのだ。


メイクを済ませ、衣装に着替え・・・、あとはひたすら待機。

・・・もちろん、何もしないのでは時間がもったいないので、
キャストはそれぞれ、持参した本を読みふけっている。


 俺は・・・「辞書」を読む事にした。


持参したバックパックから、「辞書ケース」を颯爽と取り出す。

・・・ハンドメイドの素朴なボディが、鈍い光を放つ。

俺は、その無骨で庶民的な「茶色のハコ」から、
ゆっくりと、なめらかに「マイ辞書」を引き出した。



おお なんという 実用性。
もう人類は、「辞書のカド」が磨り減る心配をしなくても良いのだ。


++ 数時間後 ++


待機所で辞書を読みふけっていると、スタッフの方より連絡があった。
・・・どうやら俺は必要無かったようだ。

さあ、宿泊先に戻ろう。

投稿者 ユウキ : 23:29 | コメント (2)

2009年08月13日  とある映画その3

動く散歩道

来週撮影予定のシーンのための「衣装合わせ」を済ませ、
ホテルに戻って来ると、スタッフの方から連絡があった。

なんでも、例の「特殊装置」のシーンが長引いているので、
スケジュールが少し押しているそうだ。

映画撮影に、不測の事態は付き物だ。
俺はとにかく、自分の準備を怠らないようにしておこう。

投稿者 ユウキ : 23:05

2009年08月12日  とある映画その3

ドラムの音が

とある俳優の一人が、別の俳優に聞いた。


 「えっと、残業手当って、何時間目から出るんだっけ?」

 「確か、9時間目からじゃなかったっけ?」

 「え?11時間目からじゃなかった?」

 「俺は、週単位で40時間を超えたら、って聞いたなあ。」

 「『日雇い契約』なのか、『週単位契約』なのかで、
  変わって来るんじゃないかな。
  俺は『週単位契約』だけど、君は?」

 「俺は日雇いだけど、」

 「SAG(俳優組合)の基本レート?」

 「そうだよ。」

 「だったら、9時間目からじゃなかったっけ?
  SAGの『日雇い契約』の基本レートが、
  確か1日$780だったと思うから、
  それを時給に換算して、9~12時間目は、それの1.5倍、
  13時間目以降は、時給2倍、・・・だった気がする。」

 「ああ、そうそう。確かそんな感じだった。」

 「あれ?でも、それって昼食の時間とかはどうやって計算すんの?」

 「確か、昼食時間は含まれないんじゃなかったっけ?」

 「え?されるでしょ。」

 「宿泊先からの移動時間は?
  仕事時間として計算されるんだっけ?」

 「どうだったっけなあ。
  ちょっとSAGに確認してみるよ。」


SAG(俳優組合)に属している俳優達は、
いつでも「残業手当」の話で盛り上がる。

・・・でも別に、本気で自分の「残業手当」の心配をしているわけではない。
ただ、「残業手当」の事を考えるだけで、俳優達はドキドキワクワクしてしまうのだ!

もちろん、撮影には真剣に取り組む。さあみんな、ドキドキしながら頑張ろう!

投稿者 ユウキ : 23:44

2009年08月11日  とある映画その3

空飛ぶ甲殻類

「ブレックファースト・ブリトー」というメニューがある。

「トルティーヤ」という、薄い小麦粉の皮で、
アメリカの朝食メニュー、
ベーコン、チーズ、オムレツなどを包んだ一品だ。

「おにぎり」のように、作業しながら手で持って食べられるので、
撮影現場では、朝の定番メニューとなっている。


 「よう、おはよう!
  今日の朝メシは何にする!?」


食事担当のスタッフが、
「炊事用トレーラー」の中から、元気良く声をあげた。


 「えーと、
  ブレックファースト・ブリトーをお願いします。」

 「おっけー、まかせとけ!
  中身は、どうする!?」

 「えーと、
  卵白オムレツ、野菜、サルサソース、
  そして、マヨネーズを少し、お願いします。」

 「ええッ!?マヨネーズ!?」

 「・・・お願いします。」

 「・・・おっけー、分かった!まかしとけ!!」


2分後、


 「マヨネーズのだんな!
  マヨネーズのブリトー、できたぜ!!」


・・・マヨネーズを注文したのが、そんなにも珍しかったのか。

確かにアメリカでは、マヨネーズは日本ほど市民権を得ていない。
サンドイッチ以外でマヨネーズを注文すると、
まるで変人のように見られるのだ。

別にいいじゃないか!少しくらいマヨネーズを付けても!!



今日は、昨日の「特殊装置のシーン」を、引き続き撮影した。

昨日の疲れが、今ごろ来たのか、
身体が少し重く感じる。

これから、しばらくは撮影が続くんだ。
体調管理はしっかりとしなければ。

投稿者 ユウキ : 23:52 | コメント (1)

2009年08月10日  とある映画その3

渓谷を目指して

さあ、今日からいよいよ撮影だ!


早朝、送迎用のライトバンに乗り込み、撮影本部へと向かった。

それから朝食を取り、メイクを済ませ、
リハーサルを行うため、セットに入った。


映画撮影は、基本的に以下のような手順で行われる。


リハーサルを行い、俳優の「立ち位置」を把握し、
カメラアングルを決める。 (10~30分)
 ↓
照明とカメラのセットアップ (20~40分)
 ↓
エキストラの振り付け指示と、照明の調整 (5~20分)
 ↓
撮影開始


今日のシーンは、これプラス「特殊装置」があるので、
もっと時間が掛かる。


「特殊装置」とは、「仕掛け」の事だ。

・・・「燃える装置」、「風を起こす装置」、
「移動する装置」、「水が流れる装置」・・・、
映画撮影で使われる「特殊装置」には、いろいろなものがある。


そして、そのどれも、設置には時間が掛かるんだ。


例えば、前に出演した「とある映画」で使われた、
「爆発の特殊装置」は、こんな感じだった。



右手に持っている「爆発物」が爆発した!・・・と見せかけて、
実は左手に仕込んだ「発火装置」で、
フラッシュなどに使われるマグネシウムを燃焼させ、
その左手で右手を覆う事で、「爆発」を作り出す・・・、という仕掛けだ。

この「特殊装置」をセットアップするのには・・・、約2時間掛かった。


もちろん今回使われている「特殊装置」は、
全く違う類のものだけど、
微調整が必要な点では同じだ。

・・・時間は、どんどん過ぎていった。


撮影が終わった時、外はもう真っ暗だった。
もちろん明日も撮影だ。身体を休め、明日も1日頑張ろう!

投稿者 ユウキ : 02:13

2009年08月08日  とある映画その3

レンガの街

ホテル生活が始まってから、もう5日、
そろそろ洗濯物が溜まってきた。

・・・そこで、「洗濯」する事にした。

浴槽に「お湯」、「洗濯物」、そして「食器用洗剤」をぶち込み、
「ワイン仕込み」みたいに、足で踏みつける。

それから、洗剤をしっかりと良くすすぎ、
水を絞って、ハンガーに吊るす。


うむ。


さあ、洗濯も終わった事だし、勉強しよう。

撮影の待ち時間を有効に使うため、
辞書一式を、ちゃんと持ってきてあるんだ。


もちろん、俺が書くのは「筆記体」だ!


勉強だけでなく、身体もキープしなきゃいけないので、
最低でも、1日1時間は走るようにしている。

明後日から、いよいよ撮影だ。全力で頑張ろう!

投稿者 ユウキ : 23:55

2009年08月06日  とある映画その3

鏡の中の摩天楼

プロダクションの方より連絡があり、
今日予定していたシーンの撮影が、
来週の月曜日に変更された事が伝えられた。

 「でもユウキは、『ヘアメイクの調整』があるから、
  現場の方まで来て貰えるかしら。」

なんでも、俺の髪が、前回の撮影時から比べると
かなり伸びているので、それを元の長さに「調整」するんだそうな。

・・・これは良いチャンスだ。

せっかくなので、是非とも撮影現場を見せて貰って、
セットの雰囲気に慣れておこう。


俺は指示に従い、ホテルの脇に泊まっていた、
スタッフ送迎用の白いライトバンに乗り込んだ。

ライトバンは、ビルの群れを抜け、古風な駅の脇を通り過ぎ、
開けた駐車場に設置された、撮影本部へと向かった。

撮影本部の入口には、制服姿の警備員が立っていて、
部外者が勝手に入らないよう、周囲に目を光らせていた。


 「さっそく、ヘアメイクの調整からお願いね。」


スタッフの方に促され、俺はメイク部の「トレーラー」へと直行した。


この「トレーラー」というのは、大型トラックの「コンテナ」の事だ。

もちろん、撮影用の特別仕様の「コンテナ」なので、
中には、一流のメイクに必要な装備が、すべて揃っている。

シャンプーもできるし、クーラーだって付いてる!
「メイク専用のキャンピングカー」と言った方が、適当かもしれない。

・・・現場には、他にも、

 「衣装用のトレーラー」
 「キャスト用のトレーラー」
 「トイレ用のトレーラー」

などが停まっていて、それぞれ移動できるようになっている。

ロケ地によって、「撮影現場」が移動するので、
「メイク室」や「キャスト控え室」も、
合わせて移動できなきゃならないのだ。


さて、話を元に戻そう。


・・・えーと、なんだっけ。  ・・・ヘアメイクの調整。そう!


ヘアメイクの調整を終え、
俺は撮影現場を見学させて貰うために、セットへと向かった。

邪魔にならないよう、外まきに現場の様子を伺う。


 熱い!  ・・・もとい、暑い!


照明によって熱された空気が、セットに充満している。
・・・こりゃあ、タフな撮影になりそうだ。

スタッフの方々に挨拶を済ませ、俺は現場を後にした。

投稿者 ユウキ : 23:33 | コメント (2)

2009年08月05日  とある映画その3

光合成丼

今日は、2度目の衣装合わせだ。

プロダクション本部の「衣装部」にお邪魔して、
あらかじめ用意された何着もの衣装に袖を通し、
オフィスの隅の方に設置された「簡易スタジオ」で、写真撮影を行った。

ここで撮影された写真から、監督が実際の衣装を選ぶとあって、
衣装部の方々は真剣そのものだ。


 「このシャツには、このジャケットの色の方が・・・」

 「でも、それだとイメージが・・・」

 「それに他の役と、色がかぶってしまうわよ。」

 「その組み合わせだったら、色的には、むしろこっちね。」

 「そうね。私もそう思うわ。」

 「・・・という感じなんだけど、ユウキ、どうかしら?」


俺にはさっぱりわからない。


衣装合わせを終えて、ホテルに戻る途中、
「日本食レストラン」が目に入った。


おお!ラッキー!こんな近くに日本食レストランが!

よーし決めた。今日は昼食に「うどん」を食べよう。


・・・ああ、楽しみだ。
「油あげ」が入っていると、嬉しいなあ。


うどん♪ うどん♪ う・・・



・・・うどん!?

投稿者 ユウキ : 23:32 | コメント (3)

2009年08月04日  とある映画その3

原始人のキモチ

「とある映画」の撮影のため、アメリカ東部の都市へとやって来た。
滞在先のホテルは、ビル街のど真ん中にあった。


俺 「こんばんは。チェックインしたいのですが。」

フロ「・・・松崎悠希様ですね。
    クレジットカードをお預かりします。
    こちらがお部屋のキーです。」

俺 「・・・あの、お聞きしたい事があるのですが、」

フロ「はい。」

俺 「約一ヶ月滞在する予定なのですが、
    僕の部屋に、小型の冷蔵庫を置いて頂く事は、可能でしょうか。」

フロ「・・・少々お待ち下さい。・・・ええ、大丈夫です。
   後ほど、係りの者がお伺いしますね。」


・・・よっしゃあ!

部屋に冷蔵庫が有るのと無いのとでは、大違いなんだ。
冷蔵庫が無いと、牛乳すら満足に飲めない。


部屋に荷物を置くと、近くのスーパーで、
これからのホテル生活で必要なものを買い揃えた。



・・・よし!これで大丈夫だ。

給湯器があれば、お茶が飲めるだけでなく、
「カップ焼きそば」が食べれる。完璧だ。


・・・そう。驚いたことに、最近のアメリカのスーパーには、
「日清のカップ焼きそば」が普通に置いてあるのだ。



麺がパスタみたいで気持ち悪いけど、
心強いぜ。日清食品!


さあ、明日は衣装合わせだ。
焼きそば食って、シャワー浴びて、寝るか!

投稿者 ユウキ : 23:35

2009年08月02日  とある映画その3

デジタルな宣告

昼過ぎに、「とある映画」の撮影日程の連絡があった。

・・・なんと、俺はあさって出発だそうな。

ひええええ、急いで準備しなきゃ!!


前回の撮影から、もう一ヶ月。
俺のシーンの撮影は、まだまだこれからだ。

大丈夫。身体はちゃんと維持できてる。
・・・でも、それよりも、後半戦で一番大事なのは「友情」なのだ。

さあ、気合を入れよう。

投稿者 ユウキ : 23:28

2009年06月14日  とある映画その3

では、30分後に。

無事に、ロサンゼルスに戻って来た。


次の撮影までは、まだしばらくある。

最も重要なのは、「維持」する事だ。
体重を増やしても、減らしても駄目だ。

気を抜かないように気を付けながらも、
この期間を利用して、英語の勉強に励もうと思う。

さあ、やるぞおおお!!

投稿者 ユウキ : 23:55

2009年06月12日  とある映画その3

もじゃもじゃ

6がつ 12にち  くもり ときどき はれ

きょうは おおいそがし です。

あさ 5じはんに はじまり ました。

とても がんばり ました。

よる 10じはんに おわり ました。

とても おもしろかった です。

でも ぼくは とても つかれた。 

だから おやすみなさい。

               まつざき ゆうき

投稿者 ユウキ : 23:43

2009年06月11日  とある映画その3

突撃!

いよいよ明日から撮影なので、
今日は、「本物の本物」を観に行く事にした。



オンラインでチケットを購入し、
地下鉄を乗り継いで、「会場」に辿り着いた。



・・・外側から見る「会場」は、随分と大きく感じる。

きっと、多くの人の夢が詰まっているからだろう。


売店で「ホットドッグ」を購入し、
ケチャップとマスタードを掛けようとしたら、
マスタードを注ぐ機械が壊れていて、大惨事が起こってしまった。



なんという事だ。

この悲しみを、明日の活力としよう。

投稿者 ユウキ : 23:10

2009年06月10日  死ぬ気で音読★2

インベーダー

「とある映画」の「設計図」を音読する事にした。

「意味」や「発音」があいまいな単語を片っ端から辞書で調べ、
最初から最後まで、しっかりと声に出して読んでいく。



この「音読」という作業をする上で、
一番気を付けなければならないのが、「正しい発音で読む」という事だ。


 ・・・これが、単純だけど、本当に難しい。


それがメジャーな単語だったり、
「綴り」が簡単だったりすると、なおさら難しい。


・・・例えば、 「 Beverly Hills 」 という単語は、
  どのように発音するのが正しいのだろうか。


実際に、声に出して発音してみて欲しい。


 「 ビバリー ヒルズ 」


舐めちゃいけない!
「ビバリーヒルズ」くらい、誰だって発音できる。


・・・ところが、この思考回路こそが、「最大の罠」なんだ。


この「Beverly」という単語の正しい発音は、

 「 ビ バリー 」 ではなくて、 「 ベ バリー 」 なんだ。

もっと細かく言えば、「バリー」ではなくて、「ヴァリー」だ。


 「 Beverly Hills (ベヴァリー・ヒルズ)」 [BE-ver-lee Hilz]


んな馬鹿なッ!?

それでは、例のテレビシリーズが、
「ベヴァリー・ヒルズ高校白書」になってしまうではないかッ!!


 ・・・でも、本当なんだ。


アメリカ発音においては、

 speedometer (速度計) を、 「スピード メーター」 と、

 automobile (自動車) を、 「オート モービル」 と、

 comfortable (心地よい) を、 「コンフォータブル」 と、

 I won! (勝った!) を、 「アイ ウォン!」 と、

 robot (ロボット) を、 「ロボット」 と、

 severe (シビア) を、 「スィヴィア」 と、


発音しては・・・、マズイ。


 ・・・ううう。頭が混乱する。


これは、どうしても避けては通れない道だ。

どれだけ時間が掛かるかは分からないが、
少しずつ、常識を再構築していこう。


<音読し終えた本>
資料・台本など
・toaru dai hon  119ページ

■これまでの合計
冊数:111冊
頁数:10841ページ

投稿者 ユウキ : 23:16 | コメント (2)

2009年06月09日  とある映画その3

芝生の先のゴミ箱

撮影まで、ちょっと時間が空く。

残された時間は非常に限られているけど、
この間に、自分にできる事をしなければ。

持ってきた「資料」にもう一度目を通して、
必要なトレーニングも、しっかりとやっておこう。



・・・この、果ての見えない「作業」に、
どのような意味があるのか、それはまだ分からない。


 でも、絶対に「何か」が変わるはずだ!


無意識下の、自分にも分からない「何か」が変質し、
「自分の役の人生経験」として少しずつ蓄積され、
それが・・・、「カメラが回る瞬間」に一瞬で燃え上がり、
「演技」ではコントロールできない「生の感情」を生み、
・・・そこに、「演じられた役」ではない、
「人間」を誕生させてくれる・・・はずなんだ!!


・・・たとえ、効果が目に見えなくとも、
俺はやるべき事を、しっかりとやろう。


投稿者 ユウキ : 23:28

2009年06月08日  とある映画その3

赤の城砦

朝7時半にホテルのロビーに集合し、
リハーサル会場へと向かった。

実際の撮影では時間との戦いになるので、
今のうちにリハーサルをしておいて、
「カメラのアングル」などを、あらかじめ決めておこう、という事らしい。


巨大な「会場」の廊下を抜けて、
大きく開けた「フィールド」へと出てきた。

その「フィールド」は、
「緑のエリア」と「茶色のエリア」の2つに分けられていた。


 「緑のエリアは神聖なので、
  間違っても踏まないで下さい!」


スタッフが、声を張り上げている。

本来ここは、選び抜かれた者が
己の人生を賭けて戦う「闘技場」なんだ。

そんな場所に自分がいて、本当に良いのだろうか・・・?


「フィールド」の反対側の、とある一角に集合し、
そこで、リハーサルが始まった。

まずは、シーンの流れを確認し、
役者が、どの「位置関係」で演技をするかを決める。


・・・この、「位置関係」というのは、実に奥が深い。


「台本」という、紙の上にかかれた文字では、
「声の大きさ」や「距離」を無視できる。

だから、登場人物の「位置関係」があいまいでも、
シーンが成立してしまう。


でも、現実世界ではそうはいかない。


・・・例えば、こんなシーンがあったとする。


====

Aくん「ああ、すね毛がかゆい。」

Bさん「剃ってしまえ。」

(そう言ってBさんは、「T字カミソリ」をA君に投げた。)

====


このシーンは、紙の上では簡単に成立するけど、
「距離」と「位置関係」を加えると、
全く別のシーンになってしまう。


それぞれ、A君に向かって飛ぶ、「T字カミソリ」を想像してみて欲しい。

50メートルも飛ばす勢いで投げたら、
すね毛どころか、あちこち危ない。


+++


さて、話を元に戻そう。


リハーサルは、俳優の演技よりも、
「カメラアングル」に重点を置いていたので、
2時間ちょっとで無事に終わった。

その後、ホテルに戻って、昼食を食べた後、
衣装の確認のため、プロダクション本部の「衣装部」へと向かった。

そこで、「完成版の衣装」を着てみて、ぶったまげた。


 ・・・こ、これは、凄い。


今回の衣装は、正真正銘の「本物」なので、
「リアルだ」というレベルではない。・・・「本物」だ!

この「本物の衣装」に負けないよう、俺も頑張らねば。

投稿者 ユウキ : 23:34

2009年06月07日  とある映画その3

2×2

朝6時半に黒塗りのハイヤーが迎えが来た。

その、俺に不釣合いな高級車から、
今度は飛行機へと乗り換え、
アメリカの反対側にある、「とある都市」へと向かった。


 ・・・むむ!?

遠くに見える、あの「とんがった物体」は・・・、どこかで見た事があるぞ!



えーと、なんだっけ・・・?「オベリスク」?

うむ。実にとんがっている。



当然の事だが、ここの町並みはロサンゼルスと全く違う。
通りに緑が多く、とにかく蒸し暑い!

まさかLAよりも暑いとは・・・、まったく予想していなかった。


ホテルにチェックインして、
まずはシャワーを浴びようと、「風呂場」へと向かった。


 ・・・!!



洗面台の上に、「玉手箱」のような箱が重ねて置いてある。
・・・い、一体、何が入っているのだろうか。


 ・・・!!!!



・・・へちま!!

「へちま」が立てて置いてある!


お湯に浸して食べるのだろうか。


 ・・・さすがは高級ホテル。サービスが整っている。


明日は、リハーサルと衣装の確認を行う予定になっている。
さあ、「へちま」でもかじりながら、準備するか。

投稿者 ユウキ : 23:05 | コメント (10)

2009年06月06日  とある映画その3

三段重ね

明日の出発に備え、今日は「本物」を観に行った。

ネット上で入場券を購入し、
「目的の場所」に一番近い席に座り、
ただひたすら、観察し続けた。


 ・・・なるほど。


「目的の場所」は、これまであまり注目して来なかったので、
実際にみた事で、かなり勉強になったが、
その代わりに「自信」が無くなった。

・・・本当に俺にできるのか?


さあ、明日はいよいよ出発だ。
準備をしなければ!

投稿者 ユウキ : 23:17

2009年06月05日  とある映画その3

サーチライト

待ちに待っていた「設計図」が、やっと届いた!

さっそく、目を通す。


 ・・・ははあ。なるほど。そうだったのか!


俺のこれまでの「作業」に、
どういった意味があるのか・・・、それは俺自身もさっぱり分からない。

でも・・・、きっと、何らかの意味があるはずだ。


 ・・・たぶん。


出発は、なんと明後日だそうな。ひえええ


さあ、もう逃げられない。
やるだけやろう!

投稿者 ユウキ : 23:36

2009年05月30日  とある映画その3

おっぺけぺー

撮影に向けた「作業」のために、
「練習用の靴」を2足、新たに購入した。

一足は、靴底に「金具」が着いた、スポーツ専用の靴。
もう一足は、「金具」が着いてない、軽めの靴だ。

この新品の靴を履いて、「作業」に打ち込むわけだけれど、
頑張れば頑張るほど、「右足靴のつま先部分」が削れてしまう。

・・・そこで、あらかじめ「その部分」を補強しておく事にした。


まずは、つま先部分に「皮」を貼って・・・、



ボンドを厚めに塗って、乾かす。



・・・よし。とりあえず、できた!



さー、「作業」を頑張ろう!

投稿者 ユウキ : 13:21

2009年05月25日  とある映画その3

荒ぶる犬の恩恵

撮影に向けた「作業」のため、
どうしても、「とあるスポーツ器具」が欲しい。

・・・この「スポーツ器具」があれば、限られたスペースで
「あんな事」や、「こんな事」が練習できてしまう。
俺の「作業」は、大いにはかどるだろう。

でも、この「スポーツ器具」、
材料は「パイプ」と「網」なのに、意外なほど高価なのだ。
平気で$100近くする。

・・・うーむ。

どうにかして、もっと安く手に入らないだろうか?
できれば、$20くらいが望ましいのだが・・・、


 ・・・待てよ。


「スポーツ器具」と言っても、所詮は「パイプ」と「網」なのだ。


だったら、自分で作ってしまえば、
$20くらいで収まるんじゃ・・・?


■「とあるスポーツ器具」の作り方。

<材料>
パイプ    $10
網       $10



●手順その1

 がんばります。



●完成!!



うむ。実に素晴らしい出来じゃ。

「大きさ」も「強度」も、申し分ない。
しかも、なんと「組み立て式」なので、持ち運べるのだ!



よーし、「作業」を続けよう!

投稿者 ユウキ : 23:02

2009年05月19日  とある映画その3

黒の海で立ち泳ぎ

・・・キャストされてから、あっという間に2週間が経った。
でも、「作業」は相変わらず手探り状態だ。

なにせ、まだ「設計図」を貰っていないので、
自分の作品内での「位置付け」すらも、さっぱり分からない。

とにかく、今の俺にできるのは、
必要な「知識」を学び、「体力」を付ける事だ。


 ・・・という事は、「運動」か。


運動は・・・、大の苦手だ。


 大きいのは、「声」と「身体」だけ。


まず足が遅い。長距離走ではビリから数えた方が早い。
反射神経は、にぶい、のろい。
スタミナは無い、すぐに息が切れる。
球技は下手、コントロール皆無。

サッカーをすれば、フィールド上では邪魔になるので、
デカい身体が唯一役に立つ「キーパー」に回され、得点され、
野球では、打席に立った瞬間に「ワンアウト」と換算されるのが、俺だ。


 うう、大丈夫か・・・


・・・でも、まあ、これは「俺自身」の話だ。
俺自身が運動が苦手でも、それは、どうでもいい話なのだ。

今、「俺の身体」は「俺の身体」ではないのだから。


さあ、演技のために必要な行動を取ろう。


まず、「心肺能力」と「下半身」を徹底的に鍛えて、
運動不足でブヨブヨの身体を絞り上げるため、
毎日「2時間」走る事にした。

入念にストレッチをした後で、
走って、走って、走りまくった。

親指の付け根にある、
「拇指球(ぼしきゅう)」を使っての重心移動を心がけていたら、
そこの皮がベロッと剥けそうになったので、テーピングを施した。


・・・よし。いい感じだ。だいぶ身体が引き締まってきた。


もちろん走るだけではない。
専門書を参考に、必要な筋力も付ける。


どこまでやれるか、それは分からない。
とにかく、限られた時間の中で、全力を尽くそう。

投稿者 ユウキ : 23:59

2009年05月16日  とある映画その3

赤タイツ

「とある映画」の衣装合わせは、
ハリウッドの中心に位置する、映画衣装専門の施設内で行われた。

受付の男性の案内に従って奥の部屋へと進み、
そこで待っていた「衣装さん」に挨拶を済ませ、
さっそく「衣装選び」に入った。


 「一応、ここに資料を少し持って来ているので、
  もし宜しければ、どうぞ。」

 「あら、ありがとう!
  とても参考になるわ!」


とても感じの良い人だ。


俺は、「職業系の衣装」には強いけど、
「ファッション系の衣装」には、めっぽう弱い。

どんな格好がお洒落かなんて、全く分からない。
ジーパンって、「色の濃さ」以外、何がどう違うのだろうか。「縫い目」とか?


・・・こんな状態なので、そこはベテランの衣装さんを信頼し、
全てをお任せしたいと思う。

どうか、お願いしますッ!

投稿者 ユウキ : 11:04

2009年05月13日  とある映画その3

牛乳パック一気飲み

金曜日に予定されている「衣装合わせ」を担当する方より、電話があった。


衣装さん「ユウキさんですか?」

ユウキ 「ええ、そうです。」

衣装さん「あの、確認させて頂きたい事があるのですが、」

ユウキ 「どうしましたか?」


衣装さん「今、ユウキさんの写真を見せて頂いたのですが、
       先日教えて頂いた寸法が、どうやら間違っているようなんです。」

ユウキ 「あら、そうでしたか。どうもすみません。」

衣装さん「ええ、こちらの資料では、
       ユウキさんの身長が、なんと184センチになっているんです。」

ユウキ 「ええ。」


衣装さん「・・・え?」


ユウキ 「えっと、それで合っていますよ。
       ・・・本当に184センチなんです。」

衣装さん「ええーーー!!!」
       あら、まあ、ごめんなさい!!
       写真を見た感じだと、とても低く見えちゃって・・・」


・・・実は、こういう事は今回が初めてではない。
俺は写真の中だと、背が低く見えるらしいんだ。

2年前に撮影した「このヘッドショット(顔写真)」が
使えなくなった理由は、まさに「それ」だった。



このヘッドショットを見る限りだと、俺は160センチくらいに見えるらしい。

・・・でも、この「160センチの日本人」をオーディションに呼んでも、
実際に室内に入って来るのは 「巨人」 なので、
キャスティングの人が、びっくり仰天してしまうそうだ。


・・・さあ、問題が解決したところで、また勉強に戻ろうぞ!

投稿者 ユウキ : 23:47 | コメント (3)

2009年05月12日  とある映画その3

砕氷船

「とある映画」にキャストされてからというもの、全く落ち着かない。


・・・果たして俺にできるんだろうか?

 大失敗をおかして、皆に笑われるんじゃないだろうか。

そんな不安がフツフツと沸いて来る。


今の俺にできる事は、とにかく全身全霊を込めて、
最大限の「準備」をする事だ!

「資料」は結構集まった。

でも、今回は「頭」だけじゃなく、「身体」も
完全に「自分の役」と取り替えなければいけない。

・・・さあ、今日もトレーニングを始めよう。

投稿者 ユウキ : 23:36 | コメント (2)

2009年05月05日  とある映画その3

どうしてこうして

マネージャーの「マイク」のところに連絡があり、
俺が「とある映画」にキャストされた事を知らされた。


うおっしゃああぁぁあああッ!!!


残念ながら、まだ詳細は話せないが、
ちゃんと役名がある「脇役」だ。


撮影は、約1ヵ月後。

俺の撮影期間は約3週間だ。


・・・今からやらなければならない事が山積みだ。

今回は、「新たなフィールド」への挑戦となる。
限界ギリギリまで肉体を酷使し、撮影に備えよう。

これができないようじゃ、俺は役者失格だ。


またも日記がしばらく「あやふや」になりますが、
どうぞ、お付き合い下さいませ。

よし!頑張ろう!!

投稿者 ユウキ : 23:59 | コメント (2)

2009年04月30日  オーディション★2

タオルの中には

とある映画の二次選考に呼ばれた。

今回は監督の前でのオーディションなので、
油断せず、最善を尽くさなければならない!

台本を、もう一度分析し直し、更に理解を深め、
衣装と小道具の完成度を上げて、万全の準備を整えた。


・・・よし、行くか!


「完成度の上がった衣装」を着て、
キャスティングオフィス内のソファに腰を下ろし、
自分の順番が来るのを待っていると、
スタッフの方が、俺に歩み寄って来た。


 「あなたがユウキね。・・・実は台本に少し変更があるの。」


・・・な、なんんだってーーーーッ!!

ま、まさかオーディションの直前に、台本が変わるとは・・・
セリフの無い部分がカットされ、随分とコンパクトになった。


 「ユウキさん、どうぞ。」


オーディションは・・・、不思議なほど、上手く行った。

直前に変更された台本も、
とっさの判断で、なんとか対応する事ができた。


70点だ。


・・・よし。やるべき事は全てやった。
さあ、次に行こう!!

投稿者 ユウキ : 23:19 | コメント (2)

2009年04月04日  オーディション★2

横歩き

とある映画のオーディションテープを作成するため、
俺はさっそく準備に取り掛かった。


まずは「オーディション用の台本」を分析し、役を掴む。

・・・今回の役は、「プロスポーツ選手」か。
ジャンルは・・・、コメディーか。


「プロスポーツ」と聞いて、正直困ってしまった。
だって俺は、運動音痴なんだ。スポーツは苦手だ。

・・・でも、もしかしたら、この役は、
運動能力よりも「人格」の方が重要なのかもしれない。


 よし。とにかく自分にできるベストを尽くそう!

 ・・・急げ!時間が無いぞ!


車に飛び乗り、スポーツ用品店を巡って可能な限り衣装を揃えた。
・・・衣装代金、$75。 うううぅ。

自腹で帰国した事で、俺の所持金は既にマイナスに突入している。

一刻も早く、次の演技の仕事を見つけなければ・・・、ひゃっほう!


シーンで必要な「小道具」を自作し、
メイクを済ませ、ビデオカメラを設置した。


・・・よし、気合を入れるぞ!!


撮影が済むと、今度はそれをコンピューターに取り込み、
自分で編集してDVDに焼き、速達でキャスティングに送った。


やれる事は全てやった。 さあ、次に行こう!

投稿者 ユウキ : 23:27

2009年03月30日  

バード

アメリカに戻り、疲労で丸二日間こんこんと眠り続けた。

・・・起きようと思っても、身体が全く動かないのだ。
見えない疲れが、まさかここまで溜まっていようとは・・・。


マネージャーの「マイク」によれば、
俺が日本に帰国していた10日間で、
「オーディションのタイミング」を一つ逃してしまったらしい。

うぅ・・・、申し訳ない。


とりあえず、そのキャスティングディレクターに

 「戻り次第、オーディションテープを送りますから!」

と言ってあるらしいので、
その撮影を明日行う事になった。


よし、やるか!

投稿者 ユウキ : 23:22 | コメント (3)