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2011年11月09日  舞台劇『ブリッジ』

デスマッチ

今日は舞台劇「BRIDGE」の
一般公開リハーサルの日だ。

主役のスタンは映画の追加撮影で不在なので、
今日は代役のレスリーが「ミュージシャン」を演ずる。

リハーサル本番まであと1時間半。

舞台の上で仕上げの「通し稽古」をしていたところ、
舞台の下で、とんでもない大問題が持ち上がった。

・・・脚本家の「ウィル」が、舞台上の「金網」を
取り外さないと、降板すると言い出したんだ。


・・・は?

金網を外さないと、脚本家が降板??
全く意味が分からない。


「ウィル」が言っているのは、この金網の事だ。



観客席と舞台上を、完全に仕切っている。

ウィルは、これは観客の視界を遮るので、
良く無いと思っているんだ。


設置した当人であり、監督のケリーは、
「ウィル」の越権行為と脅しに大激怒。

 「脚本家に、どんな権利があって
  舞台のセットに口出しするのよ!
  そこは、監督である私のフィールドでしょう!
  辞めるなら辞めなさい!!」

と、もの凄い剣幕で息巻いている。


・・・そうこうしているうちに「通し稽古」の時間は無くなり、
公開リハーサルが始まってしまった。


 ~公開リハ中~


・・・リハーサル後、ケリーは舞台上に上ると、観客に尋ねた。


「皆さん、今日は公開リハーサルにお越し頂き、
 本当にありがとうございました。

 ・・・ここで、ぜひ皆さんにお尋ねしたい事があります。

 このセットの金網について・・・、どう思われましたか?

 邪魔でしたか・・・?
 それとも、リアリティを感じました・・・?

 金曜日の本番に生かしたいと思うので、
 ぜひ、感想をお聞かせ下さい。」


ケリーが、こうして客の感想を聞いた理由はただ一つ。

観客の好意的な反応を「録音」し、
それを脚本家のウィルに叩きつけるためだ。

そうすれば、ウィルも納得するだろうと踏んだのだ。

・・・ところが。


客 「うーん、僕は邪魔だと思ったなあ。
   俳優の顔が見えないし。
   もっともっと低くていいんじゃないかな。」

客 「俳優と自分との間に壁があるように感じて、
    感情移入できなかった。」

客 「無い方がいいと思う。」


・・・大不評。

ケリーの思惑は大ハズレ。


結果、金網を30センチほど低くする事になった。


++++


舞台の下の問題が一段落したと思いきや、
今度は舞台の上で、「別の問題」が持ち上がっていた。


・・・俺の役のキャラクターについてだ。


今日の公開リハーサルには、
前回の公演を観た人が、3人ほど観に来ていた。

その3人が、3人とも、口を揃えてこう言ったんだ。


 「前のキャラクターの方が良かった。」


あああああああああああ、・・・やっぱり。


 「前の方が、ドラマチックで観ていて飽きなかった。」

 「今回の第2幕は凄いドライで、あんまし面白く無かった。」

 「前の方が、好感のもてるキャラクターだった。」


うううう、酷い。

・・・でも、自分でもそうだろうなぁ、と予想はしていた。


だってこの2ヶ月間、俺の第2幕は
完全にドライになるように、演技指導を受けてきた。

新しい俺のキャラクターは、劇中で「一度だけ」しか
笑う事を許されていなかったので、必然的に
憮然とした、好感の持てないキャラクターになっていった。

・・・本当にもう、勘弁してくれ。

俺は、前回の公演よりも、悪い演技をするために
今回の公演に参加してるんじゃないんだ。
良い演技をするためにここにいるんだ。

これから2ヶ月間、観客が見ていてツマラナイ役を
演じるなんて、俺には堪えられない!


そこで、自分の正直な気持ちをストレートににケリーに伝えたところ、
前回のキャラクターに戻す許可が貰えた。

そして、キャラクターが笑いたい時は、笑って良い事になった。

・・・ほっ。

よし。このキャラクターを、
主役のスタンと舞台上で交流しながら改良するんだ。

そして、より良い舞台にするんだ。


・・・さあ、盛り上がって参りました。

本番は、明後日!!


■募金総額:$17.51

投稿者 ユウキ : 23:13 | コメント (1)

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