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2009年02月04日  映画「ピンクパンサー2」

桃色絨毯の上で

映画「ピンクパンサー2」のプレミア試写会に伴う
「レッドカーペットイベント」は、雪の中行われた。

会場となった「ジーグフェルド劇場」の前には、
記者用のテントが立ち並び、
撮影用の真っ白な照明が、明々とテント内を照らしていた。


黒塗りの送迎車の中から見るその光景は、
どこか違う世界の出来事のようだった。

自分がそこに向かっている、という事が、
どうも信じられない。

もしかすると、全ては俺の勘違いじゃないだろうか・・・?


現実感の無いまま、車から「ピンクカーペット」に降り立ち、
冷たいニューヨークの風を、顔に受けた。

それから、深呼吸を一つして、
スタンドにひしめく、数十人の報道陣を間近に見た。



・・・すると、急に恐ろしくなってきた。

えっと、俺は何をしに来たんだっけ・・・?


「プレミア試写会」というのが、
映画の「お披露目試写会」だというのは、俺にでも分かる。

では、「レッドカーペットイベント」とは何だ・・・?


この記者の数、これは・・・、もしや、これは・・・、


 「マスコミ取材用」のイベントなのでは・・・!?


・・・まずい! まだ心の準備ができていない。
直前になるまで、こんな初歩的な事にすら気付かないなんて、
なんてグズなんだ、俺は。


「次は、ケンジ役を演じた、松崎悠希です。」

そう紹介された途端、
カメラのレンズが一斉に俺の方を向いた。



「ユウキ!ここ!ユウキ!」
「ユウキ、目線、ここおねがいします!」
「ユウキ!こっち、こっち向いて!ユウキ」
「ここお願いします!ここ!」
「ちょっとこっち!ユウキ!こっち!」


あわわわわわ。


・・・そこから先は、記憶が非常にあいまいだ。

一体何を喋ったのか、自分ですら思い出せない。
準備不足と、認識の甘さを痛感した。


演じて、そこで終わり、では無かったんだ。

大きな役であればあるほど、
役者は作品と一体化し、
それにより、「作品を宣伝する責任」が生まれる、という事か。


一通りの取材が済むと、劇場内に通された。

そして、そこで初めて、「ピンクパンサー2」を鑑賞した。


・・・でも、俺の頭の中は完全なフリーズ状態で、
目から入った情報が、殆ど脳まで届かなかった。

ただ、観客の笑い声だけが、聞こえていた。


上映終了後、観客の子供達からサインを頼まれた。
俺は、慣れない手つきで、それに応じた。



帰りぎわ、劇場の出口付近にあった、大きな立体ポスターの前で、
美和子ちゃん(母親)と写真を撮った。



宿泊先に戻ると、ようやく少し落ち着いた。


・・・とにかく、やっと・・・、観れた!

一般公開されたら、もう一度、観に行こう。
今度は、ちゃんと冷静に観れるかな。


ウソのような、本当の夜は、こうして幕を閉じた。
おそらく、現実だったのだろう・・・、と思う。


投稿者 ユウキ : 01:19

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