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2011年01月21日  テレビ

奮闘キノコマン

「とあるコメディドラマ」の公開収録日がとうとうやってきた!


集合時間は午前11時半。

俺はまず、私服のままで収録スタジオへと入り、
「カメラの切り替え」のリハーサルを行った。


それが終わると、俺はメイク室へ。

 「さあ、今日も真っ直ぐにするわよ!」


ぎゃー


・・・昨日の収録後にシャワーで戻した天然パーマが、
またもストレートのおかっぱ頭に・・・。

だ、駄目だ。どうしても慣れない。


次は、メインキャストによる「事前収録」だった。

自分の事前収録は昨日のうちに終わっているので、
俺は少し離れたところから、収録の様子を観察する事にした。

・・・モニター越しに見るその映像は、
まるで・・・テレビ番組のようだ。


午後4時になった。

公開収録がスタートするまであと1時間。

収録スタジオにはもう観客が入っているので、
キャストはメイク室に集まって、最後の「セリフ通し」を行った。


そして・・・午後5時。 開演の時間だ。


収録スタジオからは、大音量のダンス音楽と、
割れんばかりの歓声が聞こえる。

・・・なんともはや、ただ事ではない盛り上がり方だ。
まるでパーティーだ。これが・・・「公開収録」か!


 「カメラのこちら側」は、8人。


 「カメラの向こう側」は・・・、



・・・たっくさん。


そして、いよいよ公開収録が始まった・・・!

それは・・・、未知の世界だった。


自分の出番は、比較的アトの方だったので、
俺は他のベテランキャストが観客の前でどう演技するのかを
客席の横から観察していたのだが・・・

・・・セリフが、毎テイクごとに変わるのだ!

テイクが終わる度に、4人の脚本家と
「指揮者」の方が、モニターの前で
頭を突っつき合わせて緊急会議を開く。


 「ここのセリフは、もうちょっとウケる
  ジョークに変えれないかしら。」
 「・・・じゃあ、こんなのはどうかな。」
 「ここのセリフも、こういう感じに変更しましょう。」

 「・・・いいね、次のテイクで試してみよう。」


そして、そのうちの一人が役者の所へやって来て、
その場で、セリフの変更を告げる。


 「君のここのセリフだけど、
  今は『~~~』って言ってるけど、
  次のテイクでは『~~~』って言ってくれ。
  ここのセリフも、次はこんな感じで言ってくれ。」


・・・じょ、冗談だろ。

これって、つまりはリハーサル無しの、「一発本番」じゃないか。
セリフを丸暗記して演ずるだけじゃ、絶対に対応できない。


果たして俺は、上手くやり過ごせるのか・・・


俺が気をもむうちにも収録は進み、
観客席のモニターでは、昨日収録したシーンが流れだした。


 ・・・おお!ウケてる!!
 ウケてる!観客が俺のシーンで笑ってる!!


少しずつ勇気が沸いて来た。


次はいよいよ俺のシーンだ。

 さあ、覚悟を決めよう。


・・・まずは、リハーサル通りに一度。


よし!ウケた!

・・・でも、本番はここからだ。


 「ユウキ、次はこんな感じでやってみてくれ。」


来た・・・!さあ、行くぞ。


 ・・・よっしゃぁ!ウケた!


ここまでは何とかクリアだ。

監督がまたも俺に歩み寄る。

・・・俺は、自分の耳を疑った。


 「・・・ユウキ、次のテイクなんだが、
  『~~~』と、完璧なアメリカ訛りの英語で言ってくれ。
  おそらく実際の放送には使わないと思うけど、
  今日の観客を、とびきり驚かせてみたいんだ。」


え・・・、えええーーーッ!!


「完璧なアメリカ訛り」だと!?
日本人の役なのに!!

どどどどどどど、どうしよう!
そんな準備はしてないぞ!


 ・・・落ち着け!大丈夫だ。できる!

これまで音読してきた事を思い出せ!

迷ってるヒマはないぞ。一発本番だ。
さあ、胸を張って、堂々とやろう。


・・・。


気になる観客の反応は・・・、


  大  爆  笑


床が震えるほどの笑い声がステージ内を満たした。


うおっしゃあぁぁあぁぁああああ!!!!


監督は大喜び!
俺も大喜び!


収録が終わったのは午後9時だった。

カーテンコールで観客の前に出ると、
大きな拍手が迎えてくれた。

観客の生の笑い声を浴びる事ができて、俺は幸せだ。
ああ、出演できて、本当に良かった。


髪型はキモチ悪いけど。

投稿者 ユウキ : 23:32

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