<お知らせ>

2005年4月16日をもって、
「ユウキの独り歩記」は以下のURLに移転しました。

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これからはもっと頻繁に更新しますので、
みなさん、これからもよろしくお願いします。


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2000年7月21日(金)11:30AM(日本時間)
今、アメリカのバージニア州へ向けて旅立ちます。
もう後には引けません(戻るつもりはないけど)。今日から日記をつけます。
持ってきた普段着が甚平3着しかありまへん。履物は草 履(ぞうり)しかありまへん。
ど〜なるんでしょうかね〜これから

独りアメリカへ渡りまする
22歳男子のリアルタイムノンフィクション!

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一言
(不定期更新)
last update 9/24

23歳。
19歳→20歳ほどの実感は無いが、
心と顔に刻まれる幾多の経験と共に
静かに齢を重ねる。


「リンク」はもう一度再構築しようと考えています。
リニューアルされるまで、リンクを外しています。

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安い車を手に入れる為に奮闘中

英語の勉強中

ホームページの改造中

演技学校へ通っている


2004年の状況

受けたオーディション総数:6
(長編映画:1 短編映画:0 舞台劇:0 ミュージカル:4 CM:1)

コールバック(2次選考)に呼ばれた総数:1
(長編映画:0 短編映画:0 舞台劇:0 ミュージカル:1 CM:0)

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(長編映画:1 短編映画:3 舞台劇:1 ミュージカル:2 CM:0)


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「Johny」として出演 2004/9/14, 9/16
→ 短編時代劇映画「酔剣」に「多右衛門」として出演 2004/9/12
→ ミュージカル「撫子(なでしこ)」に      
長男の「大輔」として出演 2004/8/7, 8/8
→ CM「味の素の冷凍餃子」のオーディションに参加 2004 7/24
→ ミュージカル「アラジン」のオーディションに参加 2004 7/20
→  コメディの短編映画「ブロンドマン」に
敵役の「ラット(鼠男)」として出演
→  コメディの短編映画「ブロンドマン」の続編、
「ブロンドマン2」に「ラット」として出演



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[意志と決意、そして恐怖]
8月6日()


明日は、いよいよミュージカル「撫子」の本番だ。
今日は会場となるアイバー劇場での最終リハ。


昨日の夕方、日本時間8月6日午前8時15分は自室で黙祷を捧げ、
俺の演じる八尾大輔や、犠牲となった14万人の廣島(広島)市民に思いをはせた。


思えばこの2ヶ月、苦難の連続だった。

14歳を演じると決まってから、
食事制限を初め八尾大輔に近付く為に色々な事を試した。


その中一つが、「タイムスリップ」だ。


・・・まぁ、ちょっと待って続きを読んで欲しい。


俺は色々な写真や体験談などを読み、
それを「自分の経験」として追体験する作業を行った。


・・・すると、どういう事が起こったか。


一枚の白黒写真を見ていても、
その写真が単なる静止画に見えなくなったんだ。

車は走り出すし、写っている人は動き出す。
写真が撮られたすぐ後の情景が見えてくる。

まるで、自分がその場にいるかのように!


体験談にしても同じだ。

語られる言葉は俺の脳内で具現化され、
情景がありありと浮かんで来る。

まるで、自分が体験したかのように!


・・・つまり俺は瞬間的にではあるが、60年前の世界に居たんだ。






さて、「常識」というものは時と場所によって変わるわけだが、
大輔の「常識」はどうだったのだろう。

60年前の14歳を演じる以上、その「常識」を探るには
60年前がどういう状態であったかという知識を付けなければならない。
単なるイメージで演じてしまっては、とりかえしのつかないミスを犯してしまう。


例えば、俺の歌う「洋ちゃん、元気な便りをみて」という手紙の中に、
このような一節がある。


 「菊花の御紋章を仰いで敬禮(敬礼)をした時は何とも言へない気持ちでした。」


ここの「敬礼」の部分を歌う時に俺も敬礼するわけだが、
一般的に「敬礼」と聞いたら、「どういう行為」を皆は想像$9$k$@$m$&$+!#



もしかしたら、こういうのを想像するんじゃないだろうか

2004_08_06_001.gif (1188 バイト) 敬礼!



だが実際には↑は「挙手の礼」と言われ、「敬礼」とは区別されている。
挙手の礼とは、「帽子やヘルメットなどを被っている時のみ」にする敬礼だったんだ。

「敬礼」とは、今で言う「礼」、「お辞儀」、もしくは「会釈」の事。
深々と90度まで頭を下げるのは「最敬礼」と言う。

では、この時に大輔が行った「敬礼」はどうだったのだろう。


 「僕達は先ず(まず)奉安殿に対し奉り、
  幼年学校の生徒になったつもりで、挙手の禮をしました。」


と直前に書いてあるので、おそらく帽子を被っていて「挙手の礼」をしたのだろう。
ちなみに「奉安殿」というのは
「昭和天皇の御真影(写真)」と「教育勅語」が収められた場所で、
各学校にあり、全生徒は登校時に敬礼するする事が定められていた。



・・・さて、ここからが重要だ。


俺は舞台上で帽子を被っていない。
ここでは「挙手の礼」をすべきか。それとも「敬礼」をすべきか。


俺は「敬礼」を選んだ。
理由は簡単。頭に何も被って無いからだ。


今回のミュージカルには、昭和一桁生まれの人も来るだろう。
そういう人たちにとって、「脱帽状態の挙手の礼」は異様に映るはずだ。

彼らは脱帽状態の敬礼を見た瞬間に

 「ああ、これは偽物だ」

と感じて物語の世界から抜け出してしまうだろう。


俺は、それはどうしても避けたかった。


すると、とある友人からこう言われた。

 「それだと、逆に今の人にとって異様に映ってしまうんじゃない?
  彼らの中の常識とは違うんだから。
  今の人が違和感を感じてストーリーから抜け出てしまうのを防ぐ為にも、
  たとえ多少リアルじゃなくても、違和感の無いように演じる方がいいんじゃない?」

確かにそうかもしれない。でも俺はこう思う。

 「ドキュメンタリーを観る時に、そこに映っている映像が
  自分の常識とは違っていても、それを一々疑わないっしょ。
  「あ、本当はこうなんだ」と肯定的に受け取ってくれるはず。
  そのクオリティが欲しい。
  堂々としていれば確固たる知識の無い人は受け入れてくれると思う。
  俺はそれよりも「真実」を知っている人が興ざめしてしまう事の方が怖いよ。」



確かに、ミュージカルという形態上、リアリティを多少なりとも犠牲にした側面もあると思う。

俺が「本来着ていなければならない服装」は「模擬戦闘服」と呼ばれるもので、
カーキ一色の戦闘服に近い服装だ。
当時の旧制中学1年生は毎朝これを着て、ゲートル(足に巻く脚絆)を巻いて登校したはずだ。


だが、ここで問題が一つ。


身長185センチの俺がその「模擬戦闘服」を着ると、・・・ただの日本兵にしか見えない。
元々、日本兵としてでもデカ過ぎる体格だから、しょーがない部分もある。

・・・なので俺の衣装は、白シャツ+黒長ズボンの「現代の中学生」と同じ服装になった。
当時の日本人が着ていた「国民服」ですらない。

リアルではないが、これは仕方が無い。






さて、こういう風にどんどん必要な知識を学んでいき、
それを追体験した結果、何とも奇妙な事が起こった。


それは・・・・・・昭和初期生まれの人と話が合ってしまうのだ!


男性A「私は昭和5年生まれ。」
男性B「10歳くらいの時の皇紀二千六百年のお祭りって、覚えてます?」
男性A「うーん。何となくねー。」
男性B「花電車とか。皇紀二千六百年の歌とか。」
男性A「あ、何だっけそれ。」
男性B「何でしたっけ、替え歌版なら覚えてるんですけど。
     金鵄上がって15銭、栄えある光、30銭・・・」
男性C「私は二千六百年生まれですよ。」
男性B「本当ですか。盛大だったでしょう。」
男性C「ええ。私は覚えてませんけどね(笑)」


・・・男性Bは俺だ。




もう一つ、今回のミュージカルでこだわっている事がある。


実は、俺は「上手く」歌おうとしていない。

俺の今回の目標は「最大限本物に近付く事」なので、
「上手に歌う」よりも「リアルに歌う」方に重心を置いている。


これも、ハッキリ言って怖い。
一般的に言う「ミュージカル」に背を向けているからだ。


もしかしたら、観客の反応は
 「うわ、音痴だねー。」
で終わってしまうかもしれない。

だが・・・・もしかしたら、・・・・もしかしたら、
「上手い」、「下手」を超越した場所へ行けるかもしれない!

少なくとも俺はその可能性を信じてる。


全ては明日決まる。

今日は身体を休め、本番に備えるんだ。

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ユウキにメッセージを送信します
滅多に返事は来ませんが、
一通一通、全て読ませて頂いております。





何か質問があれば気軽にBBSまで!
(返信は遅いですけど)


[繋がる絆。純白の脆い固体]
7月25日(日)その2


NYからLAに来てから3年が過ぎた。
色々な事を経験し、それらの経験と共に俺も変わってきた。

だが俺にだって、ずっと守り続けてきたものもある。


  それは・・・・




     とうふ早食い競争の世界記録だぁ!

            21秒


さぁ、やって参りました。とうふ祭り!
今年も会場はリトル東京。入場料は8$と高め。

・・・しかし、俺にはタイトルを防衛する義務がある!

一昨年昨年と、俺は優勝してきた。
今年出場しなければ全米各地に広がる数千万の豆腐ファンを落胆させる事になるだろう!


「とうふ早食い競争」が今年も催される事を知ったのは昨日だったし、
入場料8$を払うのが惜しくて来るのを渋ってた事は・・・君と僕との秘密だ!


よし!


さて、今年は例年のような格好は無し!カメラが無いので画像も無し!


実は、昨年、一昨年とも「フードチャンネル」が取材に来ていた。
彼らは熱心に取材をしていたが、
一度も放映されたという話を聞かない所を見ると、多分ボツになったのだろう。


ボツになったのは、俺の格好に問題があったのではないかと思ってる。


向こう側が求めている画は、「変人がチャンピオンになる所」ではなく、
「一般人が健闘する所」なのではないか・・・・と、思ったのだ!


ならば今年は「一般人」が優勝する所を見せてあげようではないか! と。



俺は8$というバカ高い入場料を支払うと、会場内に入った。
大家さんのジャッキーは今年は参加しない。
実はジャッキーに息子が誕生したので、彼は今「奄美大島」にいるんだ。



さて会場だが、今年も見た目は例年と特に変わらない。
巨大駐車場内に作られた特設会場に、様々なとうふ料理を揃えた出店が並んでいる。

会場内は相変わらず人々でごった返していた。



日系人の祭りとだけあって、映画「オンリー・ザ・ブレイブ」の撮影で見た顔と何度か再会した。
中でも映画にスター級として出てた人が
 「お、久しぶり!」
って気軽に話しかけて来てくれた時はびっくりした。俺はどこに居ても目立つそうな。



イベント用の特設ステージの横で「早食い」のエントリーを済ませる。
・・・すると、懐かしい顔に出会った。

 「よ!久しぶりだね!」

おお、この人は去年の大会の決勝で俺に負けて2位になった人だ

 「今年こそは勝つよ!」

俺たちは再会を喜びあった。


・・・すると、そこにまたもや見知った顔が。

 「やぁ、今年もやっぱりいたね!」

こっちの人は一昨年は総合3位で、去年は予選落ちして決勝に上がれず涙を飲んだ人だ。
・・・だが、なんと彼はリベンジを果たす為に、あれから「特訓」を重ねたそうだ!!


ううむ。今年は苦戦が予想されそうだ・・・。


会場近くで2人と話しながら待っていると、
今年の司会を担当する女性が話し掛けてきた。


女性「あなたたちは大会に参加するの?」

参加者「そうですよ。」


俺達3人は彼女に、俺が2年連続で優勝し続けているチャンピオンだという事を伝えた。


・・・すると、彼女は何を思ったか、おもむろにマイクを取り出して壇上に上がった!


女性「みなさーーん!なんと今回参加するあちらのユウキさんは、
    昨年、一昨年と優勝しているチャンピオンですよ!
    今年は面白い闘いになりそうです!!」


な・・・、いきなり何をっ!!

それを聞き付けた取材班が、さっそく俺を取材にやってきた。

ああ・・・ややこしい事に・・・。


記者1「あのー、ちょっとお話を伺ってもいいですかー?」

記者2「こんにちわ。サンフランシスコの日系新聞なのですが、お時間頂いても大丈夫ですか?」

記者3「どうも、日本から来ているんですが、少しお話をお聞かせ頂いても宜しいでしょうか?」


何故か大会が始まる前に取材を受けるハメに。



そうこうしているうちに子供の部が始まった。


まずは子供の部の予選を行い、その後大人の部の予選1組、2組と続くそうな。

予選では上位3名が決勝に上がれるとのこと。



俺が取材を受けている間に子供の部が終わり、いよいよ大人の部が始まる。
・・・さぁ、闘いの始まりだ!


・・・すると、どこからか去年の司会者の男性が登場し、こうアナウンスした。


男性「さぁ、いよいよ大人の部です!
    現在の世界記録は・・・・・・     ・・・・・25秒です!」


・・・おい、また25秒か!
その記録も去年俺が更新しただろうに・・・。


すると今年の司会者の女性が即座にこう言った。


女性「あら?ここにいるユウキさんが21秒を出してますよ!!」

男性「・・・え?」

女性「ユウキさんが、一昨年のこの大会で21秒も世界記録を出してますよ!
    しかも彼は、去年と一昨年と、
    2大会連続で優勝した、ディフェンディング・チャンピオンなんですよ!!」

男性「あ・・・、そう・・・・だった・・・かな?
    えー、・・・・という事です。
    なんと、あちらのユウキさんの防衛戦だそうです!凄いですねー!」


・・・去年と一昨年の司会をしたのはこの人だ。


さて、俺は予選2組。

1組目の勝負がついてから俺たちは壇上に上がった。
ちなみに1組目の一着は45秒くらいだったはず。

うーむ。今年もいけそうな気がするぞ・・・。


席に座って一人づつ自己紹介。

 「名はユウキ。日本の宮崎から来ました。」


・・・やがて、白い紙皿の上に乗せられた一丁豆腐が運ばれて来る。


司会者「さあ、ルールは簡単。
     手を使わずに一番早く食べ切った人が勝ちです。


選手達は手を後ろに組み、顔を少し傾けて臨戦態勢に入った。


司会者「それでは行きますよー、・・・・よーい、スタート!」


勝負が始まった。
俺はまず、大口を開けて思い切りかぶり付いた!

それを噛まずに舌を上手く使って液状化し、そのまま喉の奥に流し込む!


・・・だが、3口目まで飲み込むと「逆流」が始まった。


うおお、来たぁぁ!耐えろ!


それを無理やり押し戻すと、一口、一口と進んでいく。

やがて皿の上には小さな豆腐の欠片が残る程度となる。

それを一気に口の中に押し込むと、 俺は立ち上がった!!


・・・・・・・まだ誰も立ってない! 1位通過だ!!



司会者「ユウキがやりました!1位通過です!タイムは・・・・25秒!」


・・!&$A!##2#5IC$+!#!!!&!&!&7h>!$O4hD%$i$M$P!#




決勝は、子供の部との混合戦になるそうな。
子供の部の決勝参加者達には、15秒のハンデが与えられる。

だが子供達は皆、予選で食べたとうふがまだ下ってないらしく、キツそうだ。
俺もちょっとキツい。果たしてこんな事で優勝できるのであろうか・・・?



司会者「さぁ、いよいよ決勝です!  よーい・・・・・スタート!」


開始の合図と共に、まずは子供の部の決勝進出者達がスタートする。


司会者「8・・・9・・・10・・・・、大人の部行きまーす、よーい、スタート!!」


皆は一斉に豆腐皿に顔を突っ伏した。

俺も思い切りかぶりついた!


大口を開け、一口づつ慎重に「呑み」込んでいく。

 行け!行け!押し切ってしまえ!



・・・だが、ここで異変が起こった。


逆流してきた「ブツ」が、口まで来てしまったのだ・・・!


う・・・。

ヤバイヤバイヤバイ。


必死にこらえるため、数秒間、俺は身動きとれず。


・・・やっとの事で押し戻すと、猛ダッシュで残りを送り込んだ!


もう少し。もう少しだ!

最期の一片を口の中に掻き込むと、俺は立ち上がった!



・・・・・・・どうだ!? 俺は・・・・・、勝てたのか!?



・・・・見回すと、まだ誰も立ち上がっていない!


よっしゃぁ!勝ったぁ!


会場も大盛り上がりだ!


司会者「やりました!ユウキが今年も勝ちました!
     ちなみに記録は27秒。危なかったですねー。」


27秒か。今回は危なかった・・・。


ちなにみに2位は、「特訓」を積んだ彼。
訓練の成果は無事に現れたようだ。



こうして、俺は3度目のチャンピオンに輝く事ができた。
大会後、またいくつかの取材を受けた。


来年? もちろん参加する。

ここでしか会えない友人に会う為、
そして「25秒」の世界記録をもう一度破る為にね。

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[ステレオタイプとの決別]
7月25日(日)


ミュージカル「撫子(なでしこ)」に公演まで、いよいよ2週間となった。
俺の役は八尾大輔(やお たいすけ)14歳。

22歳の俺が半世紀以上昔の14歳をどうやって演じればいいのか。


 「どこか子供らしい」「14歳っぽい」「昭和初期っぽい」
 「軍国少年っぽい」「頭が良さそう」「凛としていそう」


俺のキャラクターは、台本通りに見ればこのようなイメージが浮かんで来る。
でも、この八尾大輔自身は、自分の事を上のような「らしい」で考えていたのだろうか、と。

俺はそうは思わない。

原爆で死んだこの八尾大輔には、一人の人間としての人生があり、
他の誰とも違った自分だけの価値観、道徳観があったと思う。



俺は、数々の失敗や演技の勉強を通じて、自分なりの「演技とは」という価値観を見つけたような気がする。


 演じることは、演じないこと。


・・・・決して冗談を言ってるわけではなく、本気だ。

ちなみにこれは、「オーバーな演技をしない」という意味では無い。

俺なりの理屈はこうだ。

俳優が「演じよう」とする時、そこに「リアル」は存在しない。
そこにあるのは、「演じられている空間」。
現実世界と同じ匂いは、そこにはしない。

だが、もしも俳優が「演じよう」とする事を止め、
「自分の役」と「自分」を完全に同化し、
「その世界に生きる」事ができれば・・・。

そうすれば、「演じる」必要性は消失するのじゃないだろうか。
そして観客は、その世界に現実世界の匂いを感じ、
「誰かに演じられている物」を観ているという気にはならないのではないだろうか。


だが、「自分の役」と「自分」を完全に同化する事なんてできるのだろうか?


今回の俺のように実在の人物を演じる場合、それは「不可能」だと思う。

どんなに頑張っても、俺は「八尾大輔」ではない。
どんなに頑張っても、そこには「俺の人生経験」と、
「イメージの中の八尾大輔」とが混ざり合った「全く新しい存在」しか誕生しないと思う。


だけど、俺は信じる。

頑張れば、「八尾大輔」に限りなく近づく事ができるんじゃないか、と。
そしてそれが、俺の八尾大輔に対する最低限の礼儀なのではないか、と。



今回のミュージカルに於ける俺の目標は、

 「最大限、八尾大輔に近づく事」

それにむけて、最大限の努力をしてみようと思う。



実は、その作業は既に始めているわけだが、
具体的にどういった事をしているかというと、例えば、

1、八尾大輔のカレンダーをつける。

八尾大輔の生きた日々を再トレースし、何月何日に八尾大輔がどこに居て、
何を見て、どんな事を考えたかを自分の物にする。

原作本の手紙から情報を抜き出し、自作の昭和初期のカレンダーを埋めていく作業や、
当時の新聞の見出し、学校教育の現場などをリサーチし、
自分がその場にいると完全に信じ込んで昭和初期の世界を追体験する。


2、八尾大輔と知識を共有する。

これは八尾大輔がその時に知っていた事を俺も知ろうとする作業だ。

人は自分の経験や知識を元に、喋ったり行動したりする。
当時、旧制中学1年生だった八尾大輔の頭の中には、どんな知識があったのか。
ほぼ不可能に近いが、できる限りの事をしてみる。

八尾大輔が「修身(しゅうしん)」の授業で教えられたであろう「教育勅語」や、
「教練(きょうれん)」の授業で覚えなければならなかったであろう「軍人勅語」も実際に覚えてみる。
当時、八尾大輔が耳にしていた歌や、そこに漂っていたであろう匂いを感じてみる。


3、八尾大輔に身体的に近づく。

不可能だ。分かってる。
身長185センチの俺が昭和20年に14歳だった八尾大輔と
いかに掛け離れてるかくらい、俺にだって想像がつく。
だが、食事制限をして体重を減らしたり、
八尾大輔の「歩き方」や「姿勢」に近づく事はできると思う。


全ての作業は、人間「八尾大輔」に少しでも近づくため。

そして、一旦劇が始まればこうやって下準備した知識を「自分の経験」として認識し、
あとは一人の人間としてその空間に存在するだけ。



・・・そうすれば、俺は「14歳らしい」というステレオタイプから抜け出し、
舞台上に「生きる」事ができる・・・・・・・・・・・ハズだ。


なにぶん、こんな事は過去にやった事がない。

「ラストサムライ」なんてステレオタイプの「悪役」を演じてただけだし、
「ブラックニンジャ」に至っては目も当てられない。


今俺のやっている行為は、果たして通用するのだろうか?未来はあるのだろうか?


体重は順調に減っている。頭も完全な丸坊主だ。
時間はもうあまり無い。できる限り頑張ろう。

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一言
7/24

明日は豆腐早食い競争が催されるわけだが、
今年も出場しようかなぁ・・・・
でも、入場料8$もするし、
時間もあまり無いし、
デジカメも無いしなぁ・・・


[美味しいよ!]
7月24日(土)


さて、今日はCMのオーディションだ。
応募した覚えは無いのだけれど、電話が掛かって来た。

場所は南のトーランス。
車を45分ばかし走らせると、会場に入った。

必要事項を記入し、順番が回ってくるのを待った。

俺の番が回ってきたので、入室。
日系の「味の素の冷凍餃子」と「牛丼」のCMなので、中にいた2人の方も日本人だった。


挨拶をすると、まずはポラロイドで写真撮影。

 「じゃ、爽やかに笑って。」

と言われたので、爽やかに笑う。


その後、シーンの説明。

簡単なストーリーボード(画コンテ)に目を通す。
そのストーリーボードの絵の中には、俺に似ても似つかない「長髪のお兄さん」が立っていた。

ちなみに俺の頭は、ミュージカル「撫子」の為にイガグリ坊主頭になっている。


・・・まぁ、仕方が無い。


餃子を作りながら「爽やか」に振り向いて、

俺 「日本一売れている、味の素の餃子だよ!」

お皿を差し出しながら、

俺 「油無しで、こんなにキレイに焼けるんだよ」


その後、「ゆっくり喋って」「ここで間を取って」「ここでカメラを見て」などの演出が加わり、もう一度。



それが済むと、俺はしっかりとお礼を言って、堂々と退室した。


ううむ。今回はオーディションのテクニックを生かせたような・・・気がする。

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[恐れないで、楽しもうや]
7月20日(火)


ミュージカル「アラジン」のオーディションに参加してきた。

会場は、過去に「王様と私」や「ミス・サイゴン」のオーディションを受けた場所と同じ所。
ミュージカルのオーディションはいつもここだが、ここしか無いのかな?

さて、今回のオーディションは、ディスニーリゾートで演じられるミュージカルだそうな。

演目はアラジン。

だけど、俺はアラジンについて何も知らなかった。
映画を見たのは随分と昔だし、全然覚えてない。


・・・実を言えば、このオーディションに参加する事自体、2日ばかし前に決めたんだ。

俺の友人のユウコがこのオーディションに参加する事を知り、
 「そしたら、俺も行くわ」
と、その場で決めた。

最初から受かるつもりなんて更々無い。
このオーディションに参加した理由は一つ。「オーディションに慣れる為」。


どうすれば、キャスティングディレクターの目前で萎縮せず、自分をさらけ出す事ができるのか。
それには「慣れ」が少なからず必要だと思う。

オーディションに空気を吸って、その雰囲気に親しもう。



さて、「オーディションテクニック」という授業があるわけだが、
その基礎基本に、このような事がある。


1、入場

会場に入る時は「自信満々」に入り、その場にいる全ての人(キャスティングディレクターを含む)と
業務的な関係ではなく、親しくなる事。


2、演技中

常にキャスティングディレクターの目を見て演じる事。

3、退場

入場した時と同じく、どんなに失敗しても「自信満々」に退場する事。
会場を出る時、振り向いて「会場にいる全ての人に」お礼を言う事。


今回は、この3つを実践してみようと思う。


集合時間の10時の30分前に会場入りし、ストレッチをして身体をほぐした。

10時5分にサインアップ(自分の名前をリストに書く事)が始まり、
100人近くがサインアップした。

俺は10人目くらいだった。


待合室では、主催者側が用意した過去の公演のビデオが上映されていたので、しばし鑑賞。
ほどなくして俺の名前が呼ばれたので、入場。

会場内には7人くらい座っていた。7対1だ。

入場して、まずキャスティングディレクターに挨拶。
その後、一番左に座っていた人にも挨拶。
ピアニストの人に挨拶。

他の4人の人には・・・・挨拶できず。 くっ・・・失敗した。


ピアニストの人に楽譜を渡すと、すぐに曲が始まった。

歌う曲は「Les Poissons」。
ディズニー映画の「リトルマーメイド」でフランス人のシェフが歌っていた歌だ。

まぁ、アラジンにこんな役は無いだろう。
だけど、今回はそれは問題ではない。


最初から始めると長くなるので途中からスタート。

俺は遠慮せずに動いた。
・・・だが、歌の性質もあって、動きが多く、
キャスティングディレクターの目を見て歌う事はできなかった・・・。


歌い終わってお礼を言うと、退場。
どうやら楽しんで頂けたようだ。良かった。

だが、退場でドアを出る瞬間にお礼を言うのを忘れた。
しかも、ドアを出るか出ないかの所で緊張の糸が途切れ、噴き出してしまった。


うーむ。基本であっても、中々難しいもんだ。
次こそは、守れるように頑張ってみたい。

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[若さへの挑戦]
6月下旬


4月に受けた3つのオーディション
その3つのうちの、「撫子(なでしこ)」への出演が決定した。

俺の役は大輔(たいすけ)・・・なんと14歳!


14歳! 俺が14歳!なんと年下!


12歳の頃に「21歳」と言っても信じられ、
19歳の時には38歳を演じ、
幼い頃から「老けてるね」と言われ続けたこの俺が・・・・!


果たして可能$J$N$@$m$&$+!#!&!&!&4hD%$m$&!#


リハーサルは週2回だったのが、2週間ほど前から週3回になった。
公演は、8月7日と8日の2回。
場所はハリウッドの中心に位置するアイバー劇場(290人収容)

自分にとって、初の大舞台になると思う。

俺の歌う歌は、今まで歌った事が無いほど高い音が頻繁に出てくる難しい曲だ。
大きなチャレンジとなるだろう。

だけど、監督のメイコさんをはじめ、素晴らしいキャストの人達と働ける機会なんて滅多にないと思う。

自分のベストを尽くそう。全力でやろう。

公演まで一ヶ月。
ニューヨークの路上で歌っていた男は、今、大きな舞台へ上がろうとしている。

nadeshiko_1v.jpg (15117 バイト)nadeshiko_2v.jpg (14250 バイト)(クリックで拡大)

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一言
7/7

デジカメと車を失った


[生と死の狭間]
6月1日(火)


誰しも、時に死ぬような思いをする事がある。

その日は映画「オンリー・ザ・ブレイブ」の撮影の最終日だった。

俺はユニバーサルスタジオから帰宅するため、
フリーウェイの上を時速70マイル(約115km/h)程度で走っていた。

今の時間は朝の7時。早く家に帰りたい。


・・・と、その時、急に大きな衝撃が車体を襲い、
真っ白な煙と共に車がコントロールを失った。

並走していた車は驚いたように俺から離れる。

俺の意思とは無関係に急減速した車をどうにかコントロールし、
路肩に寄せることに成功した。

何が起こったのか確かめる為に車外に出ると、・・・左の前輪が外れている!

なんじゃこりゃ!
そりゃコントロールを失って当然だ。

本当に危なかった。もしも俺の後ろに車がいれば、確実に追突されていた。

700$で買った車は、やはり所詮700$だったのか・・・

この事故(?)で、車はスクラップ送りになった。
さようなら、俺の車よ・・・

さぁ、新たな車を探さねば。安くて、「安全な」車を・・・

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[勇気一つを・・・]
5月中旬〜5月下旬


映画「オンリー・ザ・ブレイブ」の撮影は、パサデナの森の中で始まった。
上空に吊られた巨大な照明が森の中を明るく照らしている。

2004_05_--_001v.jpg (10768 バイト)

最初は、森の中での戦闘シーンから撮影するらしい。


主要エキストラの6人は、衣装に着替えてメイクを受けると、
小道具(ベルトやゴム製の銃など)を受け取って、それらを装備した。

毎度の事だが、俺だけ他の5人と衣装が違うのは何故なのか。
別に間違ってはいないらしいんだけどね。


さあ、主要エキストラの6人(六英雄)をご紹介しよう。
それぞれにニックネームがついているので、ニックネームで呼ぶ事にする。

2004_05_--_003v.jpg (10312 バイト)

後列の左から、「ゴースト」、「アブナイ」
前列の左から、「ジーチャン」、「ゼロ(俺)」、「ベイベー」

2004_05_--_002v.jpg (8927 バイト)

そして、左にいるのが「イヤラシイ」。


何故に日本語?と思うかもしれない。
別に俺が名付けたわけじゃない。彼らが自分達で付けたニックネームだ。

彼らは2世、3世、4世となっていても、日本を誇りに思い、
自分達の事を「Japanese」と呼ぶ。
そんな人達が大勢参加しているのが今回の撮影なんだ。

それ故かどうかは知らないが、
セットでは日本語と英語が入り乱れた言葉が飛び交う。

"I gotta go to 便所." (便所行って来るわ)

・・・「トイレ」でも「お手洗い」でもない。  「便所」だ!



さて、森の中での撮影する時、、1日の流れは大体こうなった。

16:00 撮影現場に集合
17:00 衣装&メイクを済ませ、軽食を取って待機
18:00 リハーサルの後、撮影開始。以降22:00まで空砲の使用が可能
23:00 軽食の後、撮影続行
00:00
04:00 撮影終了
05:00 衣装を返却 解散
06:00 帰宅
06:30 シャワーの後、就寝
09:00 起床
10:00 登校
15:00 学校より撮影現場へ移動
16:00 撮影現場に集合

見て分かるとおり、睡眠時間が異様に少ない。
でも、毎日こんなにキツいスケジュールというわけではないので、
撮影が無い日に「寝だめ」をして凌いだ。

映画撮影は待ち時間との戦いとも言える。
カメラの位置を変えるだけで30分以上掛かる事もざらだ。

2004_05_--_004v.jpg (8124 バイト)
(待機中)

だが、そういった小さな待ち時間を無駄にする事はできない。

そこで、俺は英和辞書を常に持ち歩き、
照明の明かりを頼りにひたすら単語帳を埋めていった。

森の中だろうと、駐車場であろうと、暇さえあればそれを続けた。

あまりにも辞書ばかり眺めているので、
みんなから名前ではなく、「常に辞書を持ってる人」と呼ばれるようになった。

実は、俺はこの「辞書を持ち歩く」という行為を、もう5ヶ月ほど続けている。
自分の知らない単語を聞けば、おざなりにしないでその場で即調べる。

これは本当に効果覿面(てきめん)で、俺の語彙力はこの5ヶ月で確実に上達した。

電子辞書ではないので少し重いが、慣れてしまえばどうって事もない。
むしろ最近はこの辞書がまるで自分の大切なペットのように感じられてきて、ふとみると辞書が傍らで寝息を立てているのが聞こえてくるような、あ、ほら、今動いたよ。ほら!ね?いや、動いたってば。ああ、俺の可愛い英和辞書。どうしてお前は英和辞書なのか。お前の居ない生活など俺にはもう耐え・・・・・・・



さて、話しが撮影から大きく逸れてしまったので、元に戻そう。



森の中で数日間にわたって撮影した後、撮影現場は「ユニバーサルスタジオ」へと移った。
場所はヨーロッパタウン周辺だ。

不思議な事に、ユニバーサルスタジオの撮影区画に入るのに全く緊張しない。
前にユニバーサルスタジオ(遊園地)に行った時にトラムバスツアーで巡った事があるからかな?

キャンプのすぐ横を、大勢の人を乗せたトラムバスが通過して行く。
なんとも不思議な気持ちだ。


ここヨーロッパタウンでは市街戦や、野戦病院、屋内のシーンの撮影などを行うらしい。

ここからは俺たち「六英雄(主要エキストラの6人)」の露出度が断然高くなるので、
ヘアメイクの人が俺のヘルメットからはみ出ている髪の毛を切ってしまった。



ユニバーサルスタジオでの撮影で、ちょっとしたトラブルがあった事を記しておこうと思う。

野戦病院のシーンを撮影していた時の事だ。
俺たち「六英雄」はエキストラ補填の為に医療兵や怪我人などを演じていた。

とあるシーンで俺は医療兵を演じていて、担架の上に怪我人を乗せて歩いていた。

カメラから離れた位置に居れば良かったのだが、
運の悪い事に、そのシーンで俺は「カメラのすぐ前」を横切るように配置されたんだ。

俺の役は「六英雄」なので、「医療兵」ではない。

些細な事ではあるけれど、同じ人間が違う役で2度登場するとマズイわけだ。


俺は、できるだけヘルメットを深く被り、カメラの方から顔を背けて歩いた。
だがもしかしたら・・・俺の顔はハッキリと映っているかもしれない。

監督のレインは、俺の所に来て言った。

「君の事が心配だ。もしかしたら、今日の撮影で
 医療兵として君の顔を撮ってしまったかもしれない。
 もしそうなった場合、君は凄く特徴のある顔をしているので、
 六英雄として使う事ができなくなってしまう。」


ガーン・・・ どうなってしまうのか!


だが運が味方したようで、
フィルムチェックの結果、医療兵が俺だとは分からなかったらしい。

危なかった。下手したらここで終わる所だ。
これからは気をつけなければならない。


さて今回の俺の役だが、「主要エキストラ」とは一体何をするのか。
具体的に言うと、「常に主役級のすぐ後ろにいるけど、何も喋らない人達」の事だ。

今回の予算は「約3億円」という事らしいが、これは戦争映画としては少なすぎる予算らしい。
製作側としてはできるだけ予算を削らなくちゃならない。

そこで必要とされたのが、「ボランティア・エキストラ」というわけだ。

この映画は「SAG映画(映画俳優組合に正式に届けられた映画)」なので、
セリフを一言でも喋ると、自動的にその人は「キャスト」の一人になり、
「出演料の支払い義務」が発生する可能性が非常に高くなるそうだ。

出演料は最低額が決まっていて、確か一日600$くらいだったか。


17日の撮影だったとして、もしも一人の俳優に1日に600$ずつ支払っていたら、
それだけで約100万円がポーンと飛んでいってしまう事になる。

それゆえ、
「本来はセリフがあったけど、予算の都合によりセリフが削られ、
 手続き上はエキストラになった人」 もいる。

例えば、狙撃兵役のボブがそうだ。
彼の役名は「ミズノ・イチロー」で、画面に多く登場するけどセリフはない。

ボブは予算上での苦境を理解した上で、セリフを削る事を承諾した。

この映画に参加している人達は皆献身的だ。
それは、この映画がいかに難しい条件の中で作られているか理解しているからだろう。


主要キャストの人達も良い人ばかりだ。

大抵の事には慣れたつもりだったけど、
パット・マリタ(ベストキッドのミヤギ先生)が現れたときは、俺もびっくり仰天してしまった。
みんな「ミスターミヤギだ!」と大はしゃぎ。

彼は気軽に写真に応じてくれるので、記念撮影会が始まってしまった。



時には朝の6時まで掛かる事もあった。
だけどみんなの頑張りで、撮影は無事に終了する事ができたのだった。



・・・ただ一つ無事ではなかった物があるとすれば、俺のデジタルカメラか。

打ち上げの時、寒くなったので車に上着を取りに行き、
デジカメを「車の上に乗せ」て、上着を着て・・・・・そのまま忘れて・・・・・


あああああーーーー俺の大切な写真がぁぁぁ
パット・マリタやジェイソン・スコット・リーとの写真がぁぁぁ
100枚以上の思い出がぁぁぁ

手元に残ったのはたったの6枚。 アホだな俺は。


2004_05_--_005v.jpg (8451 バイト)
↑アホ

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一言
5/13

デジカメを友人から買った


[志願兵。集まれ]
5月13日(金)


映画「オンリー・ザ・ブレイブ」の撮影に今日から参加している。

1週間ほど前にオーディションがあって、俺は「主要エキストラ」というポジションに選ばれたんだ。


ストーリーは第2次世界大戦中に、ヨーロッパ戦線で大活躍をした日系人部隊のお話だ。

主要キャスト、主要エキストラ、エキストラの順にあるわけだが、
主要キャストと主要エキストラの中に日本人は俺一人だけだ。


日系人を描いた映画だけあって、ラストサムライで見た面々が顔をそろえた。

まず、主要キャストの中に「ジョン・コヤマ」君がいる。
彼は映画「ラスト・サムライ」で「頬にアザのある男」を演じた人だが、覚えているだろうか。

彼も俺の事を覚えていてくれて、楽しい再会となった。


さて、衣装や設備関連は、このプロダクションがユニバーサルスタジオから借りているいので、
しっかりとしている。予算も3億円ちょっと掛けているらしい。

当初はそこまで大きなプロジェクトではなかったらしいのだが、
日系人コミュニティからの寄付金が集まり、大きなプロジェクトへと進化したらしい。

衣装、メイク、銃器、ちゃんとした物が揃っている。


前に「ヒストリーチャンネル」の撮影で一緒に仕事をした「ダン」もこの撮影に参加している。
あの撮影自体は酷い物だったけど、あれは「ダン」のせいじゃない。
彼はあの酷い状況を少しでも良くしようと努力してくれた。
日本語の話せるし、知日派の良い友人だ。


ただ、この撮影での俺の大きな問題は、撮影時間だ。


俺は「主要エキストラ」にキャストされたので、
これから17日間ほぼ毎日撮影に参加するわけだが、いつ寝たら良いのか分からないんだ。


例えば今日の撮影は  「午後3時」  から  「午前4時」  までを予定している。

13時間だ。しかも夜中。


明F|$O!!!V8a8e#4;~H>!W!!$+$i!!!V8aA0#6;~!W!!$N;#1F$i$7$$!#

13時間半だ。しかも朝まで。


つまり、俺のスケジュールはこうなる。

朝から学校。学校が終わると撮影。撮影が終わると学校。学校が終わると・・・・

俺はいつ寝ればいいのか。


ちなみに、エキストラはボランティアだ。つまり給料無し。(ガソリン代は支給される)

でも、俺はこの監督に何か言い知れない魅力を感じ、助けてあげたくなったんだ。


苦しいかもしれないが、色々な発見があるような気がする。
忙しい今の状況を楽しんで行こうと思う。

2004_05_13_001v.jpg (8175 バイト) (クリックで拡大)
仲間の食事風景

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