[嵐は木曜日にやって来た]
8月21日(木)27:37
お昼を過ぎた頃、俺は「キンコス」という印刷屋の店内にいた。
それと言うのも、舞台劇「デッドライン」のクリス(監督)と、
午後1時に待ち合わせをしているからなんだ。
クリス「よお、ユウキ!少し遅れてすまんな」
ユウキ「よお、クリス!心配しなくてOK。
どうせ、まだパソコンの席が空いてないし・・・」
キンコスの中にはパソコンがあって、
お金さえ払えば 誰でも使う事ができる。
俺達はそのパソコンを使って、この前撮った写真を編集し、
「フライヤー(広告)」の試作品を作成しようと計画していたんだ。
パソコンが開くまでの間、今日の予定について話し合う。
ユウキ「それで、今から具体的に何をするの?」
クリス「そうだな。まず、この前撮った写真を見て、
必要な写真と、不必要な写真を選り分ける。」
ユウキ「ちょっと待って。書いておくよ。
・・・まずは・・・・写真の選別・・・・・と。」
クリス「それから、その写真を使ってフライヤーを作るんだ。」
ユウキ「・・・そしてフライヤーを作る・・・・・と。
今日作るのは試作品だよね。」
クリス「そう。まず試作品を作って、
プロデューサーの「ダーン」に見せて話し合った後、
本番のを作ろうと思うんだ。」
ユウキ「・・・なるほどね。
それで、クリスの考えてるフライヤーのデザインは?」
クリス「まだ不確かなんだ。「ダーン」と意見が衝突しててね。
彼は、「俺達2人が向き合ってる構図」がいいって言うんだけど、
俺はそう思わない。・・・ま、実際に写真を見て考えるよ。」
ユウキ「それだけの時間があればいいけど。今日の予算はいくら?」
クリス「とりあえず、20$かな。」
ユウキ「20$か・・・。
20$なら、・・・8枚の印刷と40分の作業か可能かな。」
クリス「十分だろう。」
その時、パソコンの席がやっと空いた。
二人は画面を覗き込み、作業を始めた。
まずは9枚の写真、全てに目を通す。
クリスはその中から三枚の写真を選んだ。
クリス(監督)と、ダーン(プロデューサー)のアップの写真。
ウィー(初演技)演ずる「タム少年」が目隠しされた写真。
9人の集合写真。
の三枚だ。
クリス「そこを・・・もっとこっちに。
・・・これを、もっと大きくできる? ・・・そうだ。そう。
この影を消せないかな。 そうか。良かった。
えーと、そうだな・・・
じゃぁ、これをここに持って来て。
ここをもう少し暗く。そう。
・・・うん。いいぞ。印刷してくれ。
ご苦労さん、今日はこんな所だ。」
「40分」という短い時間を駆使し、
2つの試作品を完成させた。
(クリックで拡大)
試作品なので出来は荒いけど、
クリスがイメージしている物は掴めて来たようだ。
キンコス(印刷屋)を出て、家に帰って来た。
時計は「午後4時半」を指している。
今日の舞台劇「デッドライン」のリハーサルは午後7時からなので、
まだ3時間ばかしある。
何をしよっかな。 お、留守電が入ってる。
留守電「・・・どうも、こんにちわ。
タミー山田と申します。
リトルリーグのビデオの吹き替えの件でお電話させて頂きました。
至急お電話を頂けたら、と思います。」
これは、ま・・・まさか・・・!
急いでその番号に連絡する。
ユウキ「もしもし、タミーさんをお願いします。」
タミー「はい、私です。」
胸 躍らせて、説明を聞く。
タミーさんによると、
リトルリーグ(子供野球)のルール解説ビデオの日本語吹き替え版を作るらしく、
その「声優」を募集しているらしいのだ。
・・・「声優」か。「俳優」では無いが、似たようなもんだ。
ユウキ「是非とも、やりたいですね。」
タミー「そうですか。では、松崎さん。
こちらの住所のオフィスへ大至急向かって頂けないでしょうか。」
ユウキ「今ですか?」
タミー「ええ。実は、今回はとても急いでいるんです。
依頼人の方が、明日までに声優を決めたいらしいので、
こちらのオフィスで、あなたの声を録音して欲しいんです。」
ユウキ「分かりました。」
タミー「オフィスには、レイニーという女性がいるはずです。
彼女は6時までいるそうなので、
6時までには向かうようにして下さい。」
ユウキ「分かりました。」
タミー「よろしくお願いします。
では、頑張って下さいね。」
・・・そう。 この録音は・・・要するに・・・
オーディションだ!
最後にオーディションを受けてから、どれくらい経っただろう。
やっと、やっと一つのチャンスが巡って来たのだ。
時計は5時を指している。
「6時までにオフィスに行け」って言ってたから・・・あと1時間しか無いじゃないか
またも車に飛び乗ると、「安全運転」でそのオフィスへと向かう。
頼む。間に合ってくれ・・・
オフィスに着いたのは、5時32分だった。
・・・良かった。何とか間に合った。
310号室のドアをノックすると、中から女性が出てきた。彼女が「レイニー」だ。
レイニーに案内されてオフィス内の一室へと通される。
テーブルの上には日本語の台本、
その向こうにはマイクの付いた「録音機」が見える。
レイニー「それでは、台本に目を通して、
準備が出来たら、台本の好きなパートを自分で録音してね。」
・・・どうやら、セルフサービスらしい。
言われた通り、台本に目を通す。
台本は何枚もあるけど、全部読むわけにはいかない。
長くて1分くらい。
彼等は色々な声色を探しているらしいので、
俺はその「1分」の中で、3つの違う声色を吹き込む事にした。
1つ目は、
日本で夜中に放映される、「吹き替え通販」に出て来るような、
タフで、頼り甲斐のありそうな声。
2つ目は、
NHKの子供番組に出ている、「お兄さん」のような、
優しくて、落ちついた声。
3つ目は、
お昼のニュースに=P$F$$$k!"??LLL\$J%"%J%&%s%5!<$N$h$&$J!"
業務的で、明朗な声。
録音が済むと、レイニーにその事を伝え、
オフィスを後にした。
・・・オーディションの余韻に浸っている暇は無い。
今から、舞台劇「デッドライン」のリハーサルだ。
シアター劇場に着いた。
7時を少し過ぎてしまったので、リハーサルは既に始まっていたけど、
クリス(監督)に前もって「15分ほど遅れる」と連絡しておいたので、
怒られる事は無かった。
今日は、最初から最後までの「通し」をやっているらしい。
早速 兵装に着替えると、いつものように、準備に取り掛かった。
リハーサル室の外では、出番の無い役者達が
思い思いの事をしている。
本や新聞を読んだり、夕飯を食べたり、電話したり、セリフ覚えたり。
どっこい、俺は時間を有効に使う。
筋トレしたり、
(クリックで拡大)
ひょっとこ踊り を踊ったり。
(クリックで拡大)
限りある時間を大切に使った。
今日のリハーサルは、適度の緊張感を保っていた。
本番までこの調子で行けたら、きっと良い物ができるだろう。
・・・それにしても疲れた。
身体の中の燃料を、全て使い果たした気分だ。
でも、こんな忙しさなら大歓迎だ。
自分の好きな仕事だから、忙しくても苦では無い。
シャワー浴びて、良く寝て、明日も頑張ろう!
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