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8月30日(金)13時40分


もうすぐ8月が終わるのだが、8月17日から30日までの日記を
書いてないので、一気に書いてしまおうと思う。
一日分がかなり短くなるかもしれないが、ご勘弁頂きたい。


17日より、L.A.C.C.の「小川りょうすけ」さんが監督を務めるSF映画、
「アヤノアゲハ」の撮影に参加した。
俺が演ずるのは、「火星第3都市の警視庁公安部」に属する
「M.O.」というエージェントだ。
その日の撮影は、「セプルベダダム・レクレーションエリア」という公園で行われた。

撮影するシーンは、俺の相棒である「S.T.」と、主人公の「チトセ」が
激しく戦うシーンだった。
俺達は、このシーン撮影の為に何度も戦闘リハを行っていた。
だが、撮影は順調には行かず、予定していたシーンは撮り終らなかった。

次の日になり、昨日撮れなかったシーンを撮るべく、
同公園に集合した撮影班だったが、
公園巡回員に見つかり、撮影場所を追われてしまった。
撮影の許可を取ってなかったので不服は無いが、
これによって撮影スケジュールは大きく影響を受けた。

昨日撮影した場所は、
まるで「焼け野原」のような所で、「爆心地」っぽかったのだ。
だが、「そこ」以外にそのような場所は見つかりっこ無い。
しょうがないので、昨日撮影したシーンを諦めて、
もう一度俺達のシーンを全て撮り直す事にしたんだ。

そうして白羽の矢が立ったのが「グリフィスパーク」という巨大公園だ。
俺達は、そこで戦闘シーンを撮影した。
M.O.(俺)と相棒のS.T.は刀で切られて死ぬのだけれど、
その戦闘シーンの為に特殊メイクをした。

(↓画像を読込中かも)



メイクを担当している「ヨウコさん」の腕前は中々のもんだ。
L.A.で開かれた国際特殊メイクコンテストで2位を取った程だ。
↑でしてもらった頬への特殊メイクも、
言われなきゃメイクだとは分からないだろう。

頑張って撮影したものの、やはり全てを撮影し切れず、
9月8日に、もう一日だけ撮影する事となった。

俺が舞台「デッドライン」を演じていた時、
その劇中でマーティという役を演じた「ブルックス」という女性がいた。

彼女は、自分のCMエージェント(CM用、仕事紹介人)が
日本人を探しているという情報を俺にくれ、
俺はそのDDOというエージェンシー(仕事紹介所)に
自分のヘッドショットを送っていた。

すると、そのDDOから電話があって、オーディションに来てくれとの事だった。
俺は印象が良くなるように不精髭を剃り、
明るい洋服に着替えると、そのエージェンシーへ向かった。

DDOに着くと、受け付けの女性から紙の束を貰い、
この中から2つ、「面白い」のと「シリアス」なのを選べと言われた。
見ると、CMのナレーションらしい言葉がズラっと並んでいる。

シティバンク・・・ドミノピザ・・・ホンダ・・・マツダ・・・などなど。
俺は、「シティバンク(銀行)」と「ブロックバスター(ビデオ屋)」を選んだ。

「シティバンク」は「シリアス」、
「ブロックバスター」は「面白い」。

さっそく練習を始めた。
トイレに篭って、鏡を見ながら、客観的にどう見えるか確認しつつ、
表情の動かし方や、読み方のアクセントをリハーサルした。

いよいよ俺の番が回ってきて、部屋へ通されたのだが・・・・
そこには、何と5人ものエージェントが座っていた!

爽やかに挨拶し、しばらくおしゃべりした後、
練習した2つのCMナレーターを5人の面前で言う事となった。

「シティバンク」は、落ち着いた声で淡々と話した。
「ブロックバスター」は表情と抑揚をこれでもかっ!ってぐらい付けて、
伸び伸びとやった。

俺なりに上手くやったつもりだ。


三日ぐらいして、DDOから電話が掛かってきて、
「クライアントの一人として迎えたい」と言われた。
・・・俺はエージェントに認められたのだろうか?


寝ていると、電話が鳴った。
「ビッキー・トーマス・キャスティング」という所からだった。

向こう「もしもし、ユウキさんですか?」
こっち「はい、そうです。」
向こう「明日、ラストサムライのオーディションに来て欲しいのですが、」
こっち「・・・・・・!!!」

何と、トム・クルーズ主演で、
日本でも500人以上のエキストラの使用が予定されている、
あの「ラストサムライ」のオーディションに呼ばれたのだ!

     しかも、俺は応募した覚えが無い!!



・・・しかし、思い当たるフシはある。
こういう事があったのを覚えているだろうか?

そう。「ブレイク」は、降板されても俺のヘッドショットを彼女に渡していたのだ。
何と律儀な奴なんだ。


俺は羽織と袴に着替えると、オーディション会場へ向かった。
到着すると、さっそく台本を渡され、それに目を通す。

・・・・日本語だ。

young manA「無礼者。その竹光で我等を切ってみろ!」
ujio「竹光・・・」
young man「おもしろいな。切れるか、その竹光で」

台本自体は英語だけれど、台詞の部分は日本語で書かれている。
台本が日本語で書かれているという事は、オーディションに呼ばれた人間は、
少なからず日本語が読める人間だろう。

受付の女性に聞いてみると、何と15人、全員日本人だそうだ。

椅子に座って台本を読んでいると、
1・・・2人と参加者が集まってきた。

しかし、その人達は、俺とは別世界・・・というか、
もう一つ上の次元にいる人達だったのだ。

俺以外の人達は皆、当然のようにエージェントを持ってるし、
車も携帯も当然のように持っている。(全部、本来最低限必要な物)

俺は、どれ一つとして持っていない。

・・・まぁいい。
今、やれるベストを尽くすだけだ。


名前を呼ばれて、部屋に入る。
部屋の中にはビッキー(だと思う)がいて、
挨拶に続いてシーンの説明を受けた。

まずはリハーサルを一度した後、
ビデオカメラを回して一度撮影。
その後、ビッキー$+$i$NCmJ8$rJ9$$$F!"$b$&0lEY;#1F!#
という手順を取るようだ。

俺はリハーサルは、伸び伸びとやった。
すると、ビッキーからこのような注文が入った。
「オーバーリアクションではなく、リアルにやってみて」

そしてカメラを回して、撮影。
それが済むと、またビッキーから注文が入った。
「もっと、高圧的にやってみて」

俺は、注文された通りにやった。
自分で、出来る限りやったつもりだ。
悔いは残らなかったし、楽しんでやれた。



数日の後、ビッキー・トーマス・キャスティングより電話が入って、
9月2日にコールバック(2次選考)を行うので、
参加して欲しいとの事だった。

・・・せっかく訪れたこのチャンス。逃がしてなるものか。

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8月18日(日)19時14分

すっきり坊主頭にして、
いよいよ俺が日本兵を演じる「ラジオ・サイレンス」の撮影が始まった。
撮影場所はレドンドビーチというところに停泊している
「SSレーンビクトリー」という船だった。

現場に着いたのは12時頃。
既に撮影始まっていて、俺はプロデューサーのエリックに挨拶をした。

エリック「お、来たね。待ってたよ」
ユウキ「さっそく衣装合わせをしたいんだけど、」
エリック「そこの2階船室の右側の部屋にメイク部屋があるから、
      そこで衣装合わせをするといい」

俺は言われるままに2階船室へ上がって、メイク部屋へ入った。
はっきり言って、衣装は非常に心配だった。
適当な衣装を用意されてるんじゃないかと、心配で堪らなかったんだ。

俺の心配は、半分当たった、衣装は「それっぽい」衣装だった。
なんとなく「あ、こんな感じだったかな〜・・・・?」って感じだ。
実際の飛行服を知っている人間から見れば明らかに違うかもしれないが、
素人目には気付かないだろう。

飛行帽も「それっぽい」
飛行眼鏡も「それっぽい」  が、「安っぽい」。

メイク担当の人が、俺が衣装を着たのを見ると、
左腕に「日の丸」を縫い付けた。
そして、白い襦袢を切って、マフラーを作ってくれた。
それを全て装着すると・・・「それっぽい」。

しかし、胸元に下げている「パラシュート入れ」は、素人目にも「嘘っぽい」


俺はその飛行服を身に纏って船内を歩き回ったのだが・・・、
その日は・・・何と終戦記念日で、
実際にWW2でこの船に乗って戦った米兵が、
当時を懐かしんでこの船に集まっていた日だったのだ。

・・・こ・・・これは気まずい。

これは非常に気まずい。
何か、俺だけエスケープゴートにされた気分だ。
この船の中、日本人は、俺ただ一人だ。


俺が今日撮影するシーンは2つ。

零戦に乗って海上に不時着した「塚本修治」が、
海上を漂うところを米兵に発見され、そして救助されるシーンだ。

・・・さっそく、船にあったホースで全身びしょ濡れにした。
俺は海から引き上げられたばかりなので、
水が滴るほど濡れそぼっていなければならないんだ。

海から引き上げられた俺は、米海兵隊によって船室へ連れて行かれるが、
その途中、自らの攻撃によって負傷した米海兵隊員を見つけ、
↓のように言う (台本を直訳)

「私達は、大きな戦いの中で出会いました。
 私は、あなたが勇敢な戦士であって、」
 海の男であって、勇敢に大勝利を収めた事に
 最上の敬意を払います。
 私は、囚人として、貴方に敬意を払いつつ、おじぎします。」

何故か、分からないが、この塚本修治さんは米兵を礼賛しまくります。
そして、おじぎします。

このまま台詞を言ったら、あまりにも不自然なので、
俺は試行錯誤して、できるだけ「それっぽく」聞こえる台詞を作った。

「君たちとは、死力を尽くし戦い、そして敗れた。
 私は、一戦士として、敵ながら天晴れなる その勇気を称えたい。」
 幼少より、海の子として培ってきた剛気が、
 私を打ち破ったのだと信じている。
 私はこうして虜囚となったが、君たちに敬意を表する」

できるだけ原文の意味を保ったまま、不自然さを極力減らそうと思って、
何とか↑の文章を作った。


が、監督にこの台詞を聞かせたところ、監督は一言

  「長い。半分にしてくれ」

と言った。


おいおい、そりゃぁねえだろ。いくら何でも意味を保ったまま半分にはできません。
しょうがないので、冒頭の二行だけ使う事にした。

そして、台詞の前と後におじぎをするよう注文が入った。

礼には、大きく分けて二種類あって、
相手の方を見たまま、顔を下に向けないで礼をする方法と、
地面を見て、相手に首筋を見せる方法がある。

俺は前者を選んだのだが、
「顔を下げてくれ」
と注文されたので、必然的に後者になった。


そして、俺がその台詞を言って、怪我をしていた米兵に頭を下げた時、
一人の米兵が、銃の台尻で俺を(塚本修治を)殴る
ここで、俺が前を見ているよりも、下を見ていた方が、
「いきなり殴られた」という効果が出るので、
礼で「下を見るように」注文が入ったというわけだ。

ちなみに、俺のセリフには、英語字幕が入り、
観客は俺が米兵に対し敬意を表している事を知る事になる。
そうする事で、俺がこの映画の中で「悪役」になる事を防ぐようだ。

その日の撮影はそこまで。
結局、俺はこの日の撮影でずっとずぶ濡れだった。
衣装が乾いてきたらすぐホースで水を足していたので、本当に「ずぶ濡れ」だ。

プロデューサーのエリックは言った。
 「素晴らしい!俺の判断は間違ってなかった。」

そして、彼は撮影班みんなに向かって、こう言った。

 「みんな!この素晴らしい仕事をした日本人の飛行機乗りを称えてくれ!」

みんな、盛大に拍手してくれた。
そして、何と、出演者と撮影班全員が、
 「素晴らしかった」
と言って、俺に握手を求めてきた。
俺は笑顔で
 「ありがとう」
と言った。


家に帰り着いたのは、夜中の12時を過ぎた頃だった。

次の日、朝10時に船に集合し、撮影が始まった。
昨日はずっと「ずぶ濡れ」だったので、風邪を引くかと思ったが、大丈夫だった。
どうやら、水には強いようだ。

今日撮影するシーンは、昨日「銃の台尻で殴られたシーン」の続きだ。

俺(塚本修治)は、殴られて気を失ったまま、船室に連れこまれ、
椅子に縛り付けられ、どこから飛んで来たのか尋問を受けるんだ。

衣装に着替え、通常メイクの後に、
額に銃で殴られた跡を特殊メイクした。


3人の米海兵隊員が尋問を担当するのだが、
「バックラー」という将校と、俺こと「塚本修治」がこのシーンのカギを握っている。

このバックラーという奴こそが、俺を台尻で殴った張本人であり、
このシーンの最後に俺を銃で撃つ奴でもある。

彼は今日の戦闘で部下を失い、憎しみと復讐に燃えている。
そして、俺を「これでもか」というほど、いたぶる。


このシーンは、俺がバケツの水をぶっかけられるシーンから始まる。
俺には、3つのセリフが用意されていた。
(英文のセリフを直訳)

1、「シュウジ、ツカモト シュウジ」

2、「そうです。私は、貴方の船と乗組員を破壊しようとしました。
   しかし、今は囚人です。貴方の慈悲の元にあります。
   おおせのままに従いましょう。」

3、「私は抵抗はしない。私は囚人だ。
   私の国で、私はもう死んでいる。」

さて、俺はこの3つのセリフも「それっぽく」直さないといけなかった。

1番のセリフは、↑で出てきた「バックラー」という将校が
日本語の「もしもし」をからかって、「フジ、ムジ」と言うのだが、
その直後に発せられるセリフだ。

希望としては、姓を先に持って来たいところ。
「塚本修治。少尉だ。」
ぐらいにはしたい。

しかし、ここはどうしても「修治」を最初に持ってくる必要があった。
何故かというと、1番のセリフのすぐ後の「バックラー」のセリフは

バックラー「ほれ見ろ!やっぱ分かってんじゃないか!
       シュウジ。シュウジか!ジャップの魚め!」

なのだ。
俺がもしも「ツカモト」というアメリカ人の発音し難い音を持ってきた場合、

バックラー「ほれ見ろ!やっぱ分かってんじゃないか!
       ツッカモット。ツッカモトーか!ジャップの魚め!」

という間抜けたセリフになってしまうんだ。
「ツカモト」に比べ、「シュウジ」はかなり発音し易いのです。

だから、俺はセリフの直前の「フジ、ムジ」を自分の名前の「シュウジ」を
呼ばれたものだと勘違いしたと「妥協」して、このように言う事にした。

バックラー「お前、俺の言ってる事分かるよな?
       お前はさ、人を殺すのが好きなんだろ?ああん?
       どうなんだ? フゥジ ムゥジ?」(英語で)

塚本修治「修治。・・・塚本修治。少尉だ。」(日本語で)

バックラー「ハハハハ!ほれ見ろ!!やっぱ分かってんじゃないか!
       シュウジ。シュウジか!ジャップの魚め!」(英語で)




さて、2番のセリフは、バックラーが俺をなぶった後のセリフで、
監督はこのセリフに「怒りを込めて欲しい」と言った。

2、「そうです。私は、貴方の船と乗組員を破壊しようとしました。
   しかし、今は囚人です。貴方の慈悲の元にあります。
   おおせのままに従いましょう。」

俺は、このように意訳する事にした。

 「私はただ、自分の任務を遂行しただけだ。
  しかしこうして囚われの身・・・煮るなり焼くなり好きにするがいい!」

最後の方に、強気な言葉を入れる事によって、次のバックラーのセリフ
「黙れ!」が効いてくると思った。
結果、このようになった。


(バックラー、銃を撃つジェスチャーをしながら)
バックラー「お前は、この船を撃ったよな?
       お前は人殺しが大好きなんだよなぁ?」(英語で)

塚本修治「私はただ、自分の任務を遂行しただけだ。
      しかし・・・こうして囚われの身・・・煮るなり焼くなり好きにするがいい!!」

バックラー「黙れ!!」(英語で)

(バックラー、塚本修治の胸ポケットから取っておいた写真を見せ付け)

バックラー「これ、家族かな?これ、お前?お前なの?
       これがお前のガールフレンドさんですか?」(英語で)



最後のセリフ、3番は、俺が撃たれる直前に言うセリフ。

3、「私は抵抗はしない。私は囚人だ。
   私の国で、私はもう死んでいる。」

このセリフは、デッカー船長の死が告げられ、
バックラーが逆上し、銃を取り出した時に言うセリフだ。

俺は銃を取り出したバックラーに対し、
自分は無抵抗である事を証明しなければならない。

原文をそれほど変えず、このように言う事にした。

 「私は、囚人となってまで、抵抗は一切しない!
  本国において、私は死んだも同然だ!」

・・・自分で作っておいて何だが、一行目と二行目の繋がりが良く分からない。
だけど、俺がこのセリフを言うが早いかバックラーは俺の胸元に一発、
銃弾を撃ち込む。

その時、艦内放送が入り、その船は零戦部隊による集中攻撃を受ける。
バックラーはそれを聞いて、急いで外へ出る。

俺は、絶命しつつ、艦上を飛ぶ僚機に思いを託し、故郷を思う。
命が今にも尽きかけようとした時、彼の口からはかすれた声で
 「かあさん・・・」
と漏れる。そしてそのまま、目を空けたまま絶命



この尋問のシーンは、この映画内で一番重要なシーンらしい。
テイク数は、十数回にも及んだ。

色々な角度・大きさから撮った。

俺はその度に、同じように死んだ。
同じ演技だけど、常に新鮮な演技をするよう、心がけた。

このシーンには、何と5時間近く掛かった。


撮影が終わって、プロデューサーのエリックがまた言った。

「みんな・・・この凄い日本人飛行機乗りを称えてくれ!凄すぎるよ!」

みんな、また拍手してくれた。
バックラー役を演じた○○○○(名前忘れ)も称えてくれた。

またもや、俳優たちと撮影班全員が俺を称えてくれた。
「素晴らしかった。」
と。

帰り際、エリックは言った。
「本当に君を選んで良かったと思っている。
 君には、何か違う物を感じた。その予感は最高に良い意味で的中した。
 本当にありがとう。素晴らしい映画になりそうだ。」

嬉しかった。俺は日本語で
「ありがとうございます」

と言った。

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8月13日(火)15時05分


日曜日にリトル東京で催された「二世祭」と「とうふ祭」に参加してきた。
だが、ただ参加していたワケじゃない。
俺には・・・・野望があった。
どんな野望があったのかは、とくとお読み頂こう。


まずは「とうふ祭」だ。
ホテルニューオオタニの近くの駐車場で、とうふ祭は開催されていた。
入場料が必要と聞いていたが、2$だけだったので安心した。

2$支払って会場へ入った。
会場の中には、とうふを使った料理の出店が軒を連ね、
大変な盛況振りだった。

俺は、大家さんのジャッキーと「ある事」を約束していた。
その「ある事」とは、

  とうふ祭の一大イベントである、「とうふ早食い競争」にて、
  2人のうち、どちらかが優勝を勝ち取る事。


ジャッキーは昨年も参加している、その時は2位だったらしい。
俺は、「早食い」という分野はかなり得意だと自負している。

お互い、負ける気はさらさら無い。ホント皆無。


さて、早食い競争の会場前で2人はエントリーを済ませた。
あとは競技が始まるのを待つだけだ。

会場前では、既に10人ぐらいの猛者(?)が、臨戦体勢に入っていた。


しかし、「俺の格好に」彼らはびっくりして、
 「おいおい、プロが参加してるなんて聞いてねえぞ!」
と冗談を飛ばした。

・・・対戦相手を一目でビビらせた「俺の格好」とは・・・!?



別に特別な格好をしてたワケじゃない。
「紺の着物」に、「下駄」、背中には「祭うちわ」を刺して、
首には「豆絞り(手ぬぐい)。」

別に何てことは無い。「ただの祭の格好」だ。


・・・一つだけ「普通でないかもしれない」事があるとすれば、
「ひょっとこ面」を後頭部に被ってる事だろうか。


いよいよ2時が過ぎて、子供の部が始まった。
「とうふ早食い」というからには、豆腐が出てくるのだろうが、
一体どれぐらいの量を食べさせられるのだろうか?


しかし、何と子供の部で出てきたのは 
何の変哲も無いただの「一丁どうふ」だった。
大人の部も、一丁どうふを使うのかと聞くと、「そうだ」と言われた。

拍子抜けだ。
たかが「一丁どうふ」ごとき、まともに食べれば10秒掛からない。

まぁ、この競争では「手は使えない」というルールがあるので
顔ごと「がっつく」事になるとは思うが、それでも余裕だろう。


子供の部が終わって、俺達はステージに上がった。
白いテーブルの周りには、椅子が10個ぐらい並んである。

まずはここで予選を戦い、上位4人が決勝へ進むという方式だ。

着席を済ませると、司会者の女性が一人一人に
名前と出身地を聞いてきた。
俺は「ユウキ、宮崎、ジャパン」と答えた。
何故か、観客から声援があがった。


さて、俺はちょっとした「仕掛け」をしていた。
それは、競争がスタートした時に最も効果を表すのだが、
その仕掛けとは・・・


「ひょっとこのお面を、頭頂部に被る」という事だ。

これにどういう意味があるかというと、
食べ初めて頭を下に下げる時に、ひょっとこのお面が前を向く・・・
そしたら・・・「目立つ」でしょ?


いよいよ早食い競争が始まった!
号令と共に、みんな一斉にとうふに顔を突っ込んだ。
俺は、ただ無我夢中で吸い込んで、飲み込んだ。

きれいに食べ上げて、顔を上げると・・・  

  ・・・よっしゃ!一位のようだ。それもぶっちぎりで。


大家さんのジャッキーは2位だった。
俺達は、とりあえず決勝進出を祝い合った。


上位4人が決まると、すぐに決勝だ。

決勝は、子供と大人、合同で行われた。
どう考えても大人が有利なので、15秒のハンデが子供達に与えられた。

競争が始まった。
子供達は一生懸命食べ始めたけど、流石にキツイらしく、
明らかにペースが落ちている。

15秒のハンデタイムを過ぎて、大人達もいよいよ参戦だ!

(↓画像を読み込み中かも)



俺は、予選よりも速いペースでたいらげた。
顔を上げると・・・

               ・・・一着だ!


タイムは21秒。 どうでも良いが、世界記録らしい。
観客の声援にこたえて、一礼した。

大家さんのジャッキーは・・・2位だ!


俺達2人で一位と二位を独占してしまった。

勝利者インタビューで、俺は余裕の表情でこう答えた
「とうふ、美味かったです。」

二位に敗れたジャッキーは、こう答えた
「あーあ、ユウキを連れて来なければ良かったよ。そしたら俺が一位だったのに」

会場は大爆笑。


賞品は、「釣りクルージング1年間無料券」だった。
LAに来て、釣りなんか一度もした事無いが、
せっかくなので、いつか行ってこようと思う。


こうして、俺達は「とうふ祭」を堪能したワケだが、
これだけで「祭」は終わらない。俺の野望も終わらない。

俺の衣装には、まだまだ秘密が隠されている。


・・・実は、俺は着物の下に「ひょっとこ踊り」の衣装を着込んでいた。
そう。俺は・・・踊る気マンマンだったのだ。

残念な事に、「完全なひょっとこ衣装」は揃わなかった。
褌(ふんどし)は、NYでストリートをやってる時、
腰帯を無くしてしまって褌を腰帯に作り変えてしまったもんで、無かった。

足袋(たび)は、日本から持ってこなかったので、下駄で代用した。

それでも、豆絞りをほっかむりして お面を着ければ「ひょっとこ」だ。


「オフィスデポ」の前あたりに、
「二世祭」の総踊りに参加する踊り手達が集合してたのだが、

俺はひょっとこ衣装に着替えると、潜り込んだ。


一番最初の「盆踊りグループ」の責任者の人に
「後を着いて行っていいか?」
と尋ねると、後を着いていく事を許してくれた。

・・・よっしゃ。これで踊れるぞ!


そうこうするうちに、音楽が始まり、いよいよ総踊りは始まった!
「盆踊りグループ」はその名の通り、盆踊りのリズムに合わせて踊っている。

俺はその後を、彼等のマネをしたり、おどけて歩いたりして付いて行った。


踊りが始まって、思わぬ誤算だったのは「下駄を履いていた」事だった。
ひょっとこ踊りは、常に重心を低くして踊るのだけれど、
下駄を履いていると、それが思うように行かない。

っつーか、足がつりそうになる。


だけど、一度踊り出したら、最後まで止めるつもりは無い。
貫徹せねば、男が廃る。


俺は、痙攣しそうな太腿を観客に悟られないよう、
観客のサビースに応えながら付いて行った。

(↓写真を読み込み中かも)


たくさん、写真を撮られた。
たくさんの人々を笑顔にする事ができた。


通りを向こうまで行って、観客が誰もいなくなったところで、俺は列から外れた。
そろそろ帰る時間だ。

俺が帰るのを警官3人ぐらいが見つけて、
 「えー!?もう帰っちゃうのか!もう一往復行こうよ!」
と誘われた。

俺はパントマイムで「疲れた〜」とやって、泣きながら走る振りをしたら、
その警官達は笑ってくれてた。



家に帰って、ホントに疲れた。


だが、明日から、映画撮影が始まる。

俺は、日本兵を演じなければならない。
日本人が、日本人を演じるのだから責任重大だ。

俺はとりあえずビデオ屋で戦争映画を借りまくって、勉強した。
当時の髪型や、言葉遣いや、態度や、生活環境を掴む為だ。


そして、俺は思った。


      「俺の髪の毛は、おかしいのではないか・・・?」


と。


俺は、二階へ行ってバリカンを借りてきた。


・・・止めろ!ユウキ!!何をする気だ!!!



・・・止めろ!!!止めろってば!!



・・・お前さん、後頭部 絶壁だろ!? ホント止めろって!!!



           ・・・・・・・・・・・・・・あーーーーーーーーあ。


                            やっちゃった。


丸刈りです。
明日の撮影、頑張ろうと思います。

人生で初めて丸刈りにしました。もう怖いもんなんて、何もありません。


(↓画像を読み込み中かも)



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8月10日(土)30時13分


木曜日の舞台の観客は36人だった。
定員が40人なので、ほぼ満席状態だ。
公演終了まであと2日。俳優達にはやる気がみなぎっている。
俺はというと、いつも通りに頑張った。

家に帰ってからカレーを作った。
最近、一週間に一度の頻度でカレーを作ってる。
カレールーがもうすぐ無くなりそうだ。無くなっては困る。
ちょっと節約しなきゃ。


金曜日、LACCの小川りょうすけさんが撮影予定の
「アヤノアゲハ」のリハへ行って来た。
朝の10時半だ。
俺は昨晩寝付いたのが朝4時ごろで、5時間ぐらいしか寝れなかった。
少々キツイ。
だけど、夜中にカレーを大盛りで3杯も食べた俺がイカンのです。
しゃっくりが止まらなくて、なかなか寝れなかったのです。

元悪役商会の大石さんが、今日も殺陣の稽古をつけてくれた。
 (Oさん→大石さん)
俺は刀を使うシーンが無いので比較的楽だ。
セリフの感情の込め方を、りょうすけさんと打ち合わせた。

20日から撮影らしい。

これからの大まかな日程は、

10日まで、舞台「デッドライン」
12日〜16日、映画「サイレント・ラジオ」
20日〜 、映画「アヤノアゲハ」

なんだか、妙に充実した生活を送っている。


リハの後は、そのまま舞台だ。

今日は、何と、観客席は満席になった!
公演終了まで あと一日控えて満員御礼だ。 嬉しい限り。

・・・厳密に言うと、観客は39人だったど、
 ま、一応満席って事にしておく。


さぁ、いよいよ舞台最終日だ。


観客数は・・・   何と45人!!!
観客席40に対し、観客数が45!!

5人は、階段部分に座っている。
満員御礼どこじゃない!立ち見状態だ!これは凄いぞ!


芝居の出来はというと・・・素晴らしかった。

もうね、みんな気迫が違うんですよ。


俺は舞台裏で、みんなの演技を音声だけで楽しんでたけど、
全然退屈しなかった。
6週間も同じ芝居をしてるとは思えない程、今日のみんなの演技は新鮮だった。


どうやら、俺達は「有終の美」を飾る事ができた。

カーテンコールが終わって、出演者みんなでお互いを称え合った。

毎日、舞台が終わる度に出演者全員でお互いを労っていたけれど、
今日は「最後」なんだ。
しっかりと敬意を込めて握手して、
 「素晴らしかった。君と演じる事ができて、本当に良かった」
と称え合った。

本当に、長い日々だった。
だが、素晴らしい友人がたくさんできたし、
自分の実力を試す事もできた。
悔いる事は無い。

カフェで、お客さん達と会った後、
出演者のうちの一人「ドニー」が働いているバーで、
軽い「打ち上げ」を行った。
俺はコーラを飲んで、仲良くなったみんなと話した。

本当の「打ち上げパーティー」は、明日、日曜日だ。
夜中2時頃、家に帰り着いた。




家に帰って、ネットに繋ぐと、あの「吉田戦車」が山田日記という
Web日記を書いているのを発見してしまった。
ついでに、ほぼ日刊イトイ新聞エハイク
連載しているのも発見してしまった。

2時間半掛けて、「山田日記」と「エハイク」全てを読んでしまった。


しまった! 気がついたら朝の7時だ。



今日はリトル東京で「二世祭」に参加した後、
「豆腐祭」で豆腐早食い競争に参加しなければならないのに!!

もしも「豆腐祭」へおいでなさる方がいらっしゃいましたら、
2時半からの「豆腐早食い」にご注目下さい。

俺は、優勝する気マンマンです。


さて、そろそろ寝よう。

  吉田戦車さん。お誕生日、おめでとうございます。(8月11日)

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一言

8/7

現在、卵1個、お米6合ぐらい、
お茶漬け4袋、牛乳、
納豆があります。
野菜類は皆無。

さて、何日持つかな?
陸上で壊血病にならないように
ビタミン剤はちゃんと飲んでおこうと思う。


8月7日(水)23時50分


先週の土曜日の舞台にはお客さんが30人以上来てくれた。
いよいよ公演もあと残り1週間を残し、みんな見に来てくれるようになったみたいだ。

俺は「カーテンコールで笑っては駄目」というキツイ状況だったのだが、
逆にそれを上手く利用できないか?と考えてみた。


 ・・・こうなったら、とことん悪役になってしまえば良いのでは?


そうと決まればやるしかない。
俺はカーテンコールの時に、舞台袖から出てくるなり、
観客を思いきり ギンと睨みつけた。

偉そうに舞台中央に立つと、憮然と礼をし、
起き上がりと同時に、またもや観客を睨みつけた。

・・・どうだ。これなら文句あるまい!

監督のクリスは・・・

  「完璧。最高。それを待っていた」

だそうだ。お喜び頂けて幸いです。




さて、俺が演じているところを、初日に舞台を観に来てくれたIさんが
デジカメに収めてくれた。これで小劇場内部の様子を伝える事ができる。

観客と、演じる役者との距離は、こんなに近いのだ

(↓画像を読み込み中かも)



(↓もう一枚読み込み中かも)





一番前の客が足を伸ばしたら、舞台の上に乗ってしまう。
それぐらい観客と役者の距離が近いんだ。

役者の目線や、表情まで、しっかりと観客に観られている。(B
いい加減な演技や、安っぽい演技は見抜かれてしまいそうだ。

↑の写真で、右側の壁に浮世絵が不自然に貼ってあるのがご覧頂けるだろうか?
あの壁は、現在はもっと「自然」な感じだ。
浮世絵はまだ4枚程貼ってあるが、殆ど目立たない。
今度デジカメで撮影してきます。

役者の演技も、公演初日と現在とではかなり違うと思う。
初日はやっぱみんな緊張してた。演技が硬かったし、不自然な動きもあった。

今は、自然に役柄をこなしている。
俺の役柄も「人間っぽく」なってると思う。

初日に観に来てくれた方々、もう是非、一度ご来場下さい。
今週の木・金・土で終わりです。


先日行ったオーディションだが・・・何と役を取ってしまった。
                         →キャストを見る(俺は一番下)
「Shuji Tskamoto」・・・役名ぐらい、ちゃんと書いて欲しかった。
日本人が見ても恥ずかしく無い演技をしようと思う。
衣装は向こうが用意してくれるのだが、大丈夫だろうか?
頼むから、モロに嘘っぽい演出をしないでくれる事を切に願う。


今日は、LACCの小川りょうすけさんの映画のリハーサルへ行ってきた。
彼は今度、CGをフルに使った近未来映画を撮ろうとしている。
その映画の中での俺の肩書きは、「火星第3都市、公安員」
とてもSFな響きだ。

その映画の為、今日はLACCのキャンパスで、殺陣(たて)のリハを行った。
というのも、銃と刀を使ったアクションシーンがあるからなんだ。
俺達に殺陣の指導を付けてくれるのは、元悪役商会員のOさんだ。
 (本人の了承を取るまで、0さんって事にしときます)
Oさんは、現在アメリカで俳優活動中だ。
彼は日本での芸歴は長く、「男はつらいよ」や「いいひと」にも出演していた。

彼の太刀筋や、立回りはやっぱ素人には見えない。
同時に、居合道や剣道とも違う。
Oさんは謙遜して「俺なんか日本ではまだまだだよ」と言うけど、
俺みたいな殺陣ど素人から見れば、達人に見えてしまう。

いつか、個人的に殺陣の稽古をつけてもらいたい。
是非とも習っておきたいと思ってる分野だ。



俺は現在やっている舞台が終わったら、
日本語のセリフがある映画が2本、撮影を控えている。

日本語の滑舌(かつぜつ)を取り戻す為に、
明日から「外郎売り(ういろううり)」の練習を始めようっと。

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8月2日(金)29時44分


水曜日まで、「腐った卵」を食べたせいで体調不良になっていた。
今はもう大丈夫だ。正露丸で直った。

全ては、リトル東京のマルカイで卵を買ったのが始まりだった。
あれは確か7月28日か?
99¢の卵と、44¢のうどんを買って、
家に帰ってさっそくうどんを作って、卵をぶち込んで食べたんだ。
その時は、何か変だなと感じたものの、あまり気にせずスープまで飲み干して
綺麗さっぱり食べてしまった。

その日から、俺は腹痛と下痢に悩まされた。
俺は原因を特定する事ができなくて、どうしたんだろうかと不思議に思ってた。

30日になって、「卵納豆ねぎ御飯」を食べようと思って、
納豆を御飯によそい、ねぎをまぶして、
いざ卵を掛けようと 殻を軽く打ち付けると・・・・

グシャっと、殻ごと卵が潰れた。中の卵黄部分も潰れている。
アレ?卵ってこんなに簡単に潰れるっけか? と、俺は初めて訝しく思い、
卵のパックに書かれている賞味期限を見ると・・・・

          「7月18日」

つまり、俺は、賞味期限を10日以上前に過ぎた卵を食べてたんだ。
だけど7月28日に購入した卵の賞味期限が7月18日までって・・・・どういうこった
マルカイは日本系なだけに、すっかり安心しきってた。
日本系列なら、卵は新鮮だろうと勝手に思い込んでたんだ。
もうどこも信用しねぇ。卵と牛乳は賞味期限を見てからしかぜってー買わねー。

マルカイに電話してみたところ、
「本当に申し訳ございません。お取替えさせて頂きますので、
 商品をお持ちになって、お店の方までお越しになって下さい」
との事だ。日曜あたりでも行ってみるか。


昨日の舞台は、木曜日にも関わらずパワーで満ち溢れていた。
みんな積極的にリハに励んでいたし、やる気も感じられた。
お客さんは17人ぐらい入って、良い緊張感の中演じる事ができた。
俺はいつも通り、自分の仕事をこなした。



今日の舞台は、金曜日なのだが、
何と客席の予約が26人入っているという状態だった。
それを聞いた俳優達は、がぜん燃えた。やる気がみなぎった。
おまけに、観客の反応の良い事!
ジョークでは笑ってくれるし、シーンが変わるごとに拍手してくれる。
今までで最高の観客じゃなかろうか?
俳優達は、素晴らしい観客の中、素晴らしい演技をする事ができた。

しかし、俺は舞台が終わった後、
いつものように晴れ晴れとした気分にはなれなかった。
それというのも、「今日から変更された点」が俺にダメージを与えていたからだ。

通常、全てのシーンが終わった後に「カーテンコール」といって
俳優が一人づつ出てきて観客に一礼するんだけど、
俺は今まで、そこで「笑って」観客に一礼する事が許されてた。
自分の役柄がいかに劇中で怖い役か分かっていたので、
そこだけは笑顔で来てくれた観客にお礼をしたかったんだ。

しかし、クリス(監督)はそれがお気に召さなかったらしい。
「カーテンコール中も、キャラを崩さず、絶対に笑ってはダメ」
と言われてしまったんだ。

俺はそれに従い、最後まで悪役を通した。ニコリとも笑わなかった。
しかし、舞台が終わったあとにカフェで俳優を待ってくれてる観客の人達の
ところへ行ったとき、お客さんが俺の人格を疑っているような気がした。
俺は本当に怖い奴なんじゃないかって、警戒しているように感じた。

今までは、舞台終了後にお客さんは
 「素晴らしかった。君は本当に怖かったよ」
と言ってくれたりしてたんだけど、それすらも避けているように思える。

つまり、俺はカーテンコールの笑顔で
 「俺は本当はこんなに怖い奴じゃないんだよ」
と弁明していたのだが、その機会を失ってしまったのだ。

それで、ちょいとスッキリとした気分にはなれなかった。
本当に恐ろしい奴だと思われっぱなしというのは、あんまり良い気分じゃないからね。

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